<レナが他編においても二名を殺害していたかどうかの検証>


 そういう内容の憶測をヨソで見かけはしたものの、んなまさか、と思ってずっと流してはいたのですが…
“レナは鬼隠し・綿流し(目明し)編においても北条鉄平と間宮リナを殺害していたか”
 改めて考えてみると、事に臨むレナの落ち着きぶりといい、後悔を見せない態度といい、ずっと装い続ける上辺といい…結構ありえそうな話ですね。
 今日はちょっと、この可能性について検証してみたいと思います。



 一応はじめに。
 …考えてく内に、鬼隠し編の圭一遺書を破り取った人について嫌な推測が立ちました。
 うぅ……この推理オリスクにしたら面白いだろうけど、あんまりしたかねーなぁ…。



さて。時系列を追って検証していきます。
まずは鬼隠し編


 6月中旬。リナ(レナリナと紛らわしいので以下律子)の初期配置が竜宮家にかなり接近した位置にあり、北条鉄平との間に恐喝の計画も進んでいたと考えます。
 で、律子を気にいることのできないレナはゴミ山の奥の廃車を改造、誰も来ない隠れ家に仕立て上げていたとします。
 そして…レナが喫茶店で律子と鉄平の恐喝現場を目撃するイベントが発生。
 ――ただし、葛西・詩音との遭遇は発生しないものと思われます。
 (理由:罪滅し編で、呆然とするレナに声をかけたのは詩音の方。しかしレナと詩音は昭和57年に一度面識があるものの、「園崎詩音」として顔を合わせたことはないので、詩音はレナを見たら避けると思われる。)


 で、葛西の介入を望むという選択肢もないまま、レナは一人悩み続けます。
 レナの認識では、律子は不可侵の聖域たる「家庭」に金目当てで侵入する「悪い人」です。意識しないレベルではやはり、殺害もきちんと念頭にあるでしょう。
 やがて。竜宮父と律子の関係が進み、再婚話を娘に承諾させるさせないの問題が起き、ずっと律子を避け続けてきたレナにちゃんと話をしよう、という事になって……律子がゴミ捨て場でレナを見つけ、追ってくる。という展開に至ります。
 レナは人気のない隠れ家で律子の正体を暴露し、律子に殺されかかり、そして律子を殺します。
 死体を冷蔵庫に隠し…
 二日後、喫茶店の話の内容から鉄平の到来を予期していたレナは、隠れ家に鉈を用意しておきます。
 その晩、鉄平が竜宮家に乱入。骨抜きにされ言葉の届くことのなかった父の夢が完全に覚めたところで、レナは鉄平を誘き出し、隠れ家付近で殺害。
 やはり同様に死体を隠し…
 翌日。学校の後で隠れ家に直行、二体分の遺体の解体作業を終えます。
 遺体をポリ袋に入れて冷蔵庫に隠し…(しかしつくづくデカイ冷蔵庫だな)
 さらに翌日(圭一をお披露目した6/12日曜日だろう)。圭一を伴ってゴミ捨て場へ。
 (これは今後数日の行動理由を作るためだろう)ケンタ君人形を発見。話題にします。
 その際圭一は富竹と遭遇、五年前のバラバラ殺人の情報を得てしまいます。
 レナは帰り道圭一から“バラバラ殺人”の話題を振られ、それとなく避けます。
 翌6月13日月曜日。「ケンタ君人形を掘り出す」を名目にレナは一人ゴミ山へ。
 しかし隠れ家へ向かおうとする途中…不意に圭一がやってきます。


「事故発生の緊急通報を受け参上しました! 負傷者はどこでありますか?!」
「え?!え?!! 事故って?!! …え?!」←内心驚愕
「ケンタくん人形がゴミ山に生き埋めになっているとの通報でしたが…?!」
「え?…っな、なぁんだ。びっくりした…。圭一くん驚かさないでよ。」


 やむなく、名目通りケンタ君人形を掘り出します。
 翌6月14日も同じ作業をし、ケンタ君人形を掘り出し、竜宮家へと運びます。
 6月15日。部活を終えたレナは一人先に帰ります。(梨花も一緒ですが)
 恐らく早々に一人になり、バラした遺体をどこかへ隠しに行ったものと考えられます。
 圭一にはまずいものを見られている可能性があるので、レナはそれとなく圭一に気をつけています。
 で、時間は飛んで6月20日。圭一の元を大石が尋ねてきます。レナはその様子を監視。
 大石がした話は富竹や鷹野の死亡についてでしたが……刑事らしい不審な男の来訪を受け、明らかに態度のおかしくなった圭一に、レナは「リナ・鉄平殺しがバレ、圭一に捜査の手が及んだ」とでも考えます。
 仲間達の過去を知り距離を置く圭一に、レナはますます「こいつあの日の記憶から何かに勘付いたのでは」という疑いを深めます。


「なぁレナ。……みんなは俺に、嘘や隠し事なんかしてないよな…?」
「じゃあさ、圭一くん。……圭一くんこそ、レナたちに嘘や隠し事をしてないかな?」
「誰、あのおじさん。」
「し、知らない人だよ…!」
「知らない人がなんで圭一くんに用があるの。」
「お、…俺が知りたいよ!」
「じゃあ何の話をしていたの!」
「みんなとは関係のない話だよ…!」
「圭一くんに内緒や隠し事があるように、…レナたちにだってあるんだよ?」


 隠し事をしているだろうと聞かれ、レナは激昂。圭一を威圧し、圭一が隠そうとしていた大石との接触を暴露し、隠し事は自分達にだってあると言い去ってゆきます。
 そして、大石と連絡を取り続けているらしい圭一を、レナは独自に監視。
 大石と電話連絡を取る圭一を、部屋の外で一時間佇んで電話の内容を盗み聞いたりします。
 で、だいたいこの辺りでレナの圭一に対する疑いは晴れ、おはぎを持って見舞いに行ったり、圭一の両親不在を聞いておかずを持っていったりもするのですが……既に圭一は人間不信状態。指をドアに挟まれるほどに完全に拒絶されます。
 レナは自分の態度に罪悪感を感じ、「ごめんなさい」「ごめんなさい」と呟き続けますが…圭一には異常な態度にしか見えず…
 やがて、バットを持ち歩き、異常な言動・攻撃性を示すようになり、心配も空しく――


 …と、まあ。
 長いですが、こんな感じでしょうか。
 


 さてここで問題となってくるのが圭一の遺書です。
 切り取られた部分は以下の三行。


“バラバラ殺人の被害者を調べて下さい。生きています。
 富竹さんの死は未知の薬物によるもの。
 証拠の注射器はこれです。”


 この「バラバラ殺人」の一文に関してなのですが、罪滅し編読了後に考えてみると、“この部分を切り取った人間は、「バラバラ殺人」が「間宮律子及び北条鉄平殺人」を意味しているという風に判断している”と考えてもおかしくはない気がしてきます。
 書いてある事は見当違いにせよ、自分の犯した犯行を連想させるくだりは切り取っておきたいと考えた誰か。
 この遺書の存在を把握し得て、両名がバラバラ殺人された事を知っている人物……
 レナではないでしょうか。


 死んだふりか一時昏倒かで圭一の凶行を逃れたかどうにかして、圭一が何かを書いて隠した事に気付き、圭一逃亡後に三行部分を切り取って飲み込むなりなんなりし、その後何らかの理由で死亡。
 どうにも穴だらけの推理ですが…こういう可能性も否定できません。



 今日はとりあえず、鬼隠し編の検証のみ。