さて今日は、祟殺し編6月19日〜20日にかけての入江・大石の行動について考えてみたいと思います。
つねづね断片的な考察ばっかですみませんが、まだまだ全体の流れが見えません。
少しずつ詰めていきたいと思います。




祟殺し編にて叔父の死体遺棄現場を掘り返す圭一の前に、突如現れた大石と男達。
彼らはシャベルやバケツを既に用意していました。
これは、「自分達が雨の中穴掘りをする」という状況を想定していたとしか思えません。
どうして彼らがこんな用意をしていたのかに関しては、


1、圭一をずっと尾行していたらなんか雨が降る中で穴を掘り始めたので、それから用意した。
2、最初から雨の中穴掘りをするつもりだった。


などの理由が挙げられますが、私は…この二つのどちらも正しいのではないか、と考えています。
 さて、何故大石たちは圭一を尾行していたのでしょうか。
 圭一が穴掘りを始めたあたりは富竹の遺体発見現場と程近いので、夜間に通りかかった不審な圭一がたまたま大石たちに見つかった、なんてことも考えられます。
 …ただ、この偶発的展開だと実はシャベルやバケツの説明がつかない気がします。
 圭一が穴を掘り始めるのを見て、急いでどっかの家から借りてきた…っていうのは、夜間でもあり、また人数も人数だし、ちょっと可能性としては低いかなと思います。住民の協力の得づらい雛見沢ともなれば、果たして「夜中だけどちょっと近所の家まで行ってシャベル数本とバケツ借りてこよう」という意見は出るかどうかさえわかりません。
 …となると、これらの道具は彼らの自前、という事になります。
 では、大石たちはシャベルやバケツをどうして所持していたのでしょうか。
 それは、警官の大石を含むこの数人の男達(描写ははっきりしないながらも、私は警官だと思います)に、「何かを掘り返す意思があったから」だと思います。


 はっきり言ってしまえば、大石達警官は「遺体が埋められている」と既に断じていたんだと思います。


 加えて、その埋められてるであろう遺体ってのが他の誰でもなく、北条鉄平ってことまでわかってたんじゃないかと思います。



 そう思う理由は何なのかというと、
 圭一は、遺体埋葬用の穴掘った襲撃現場近くに、一本目のシャベルを置き忘れています。(最後まで未回収)
 もし鉄平襲撃が警察に知られていて、現場近くを捜索の結果シャベルが落ちているのが見つかったらどうでしょうか。
 また、あるいは、圭一がシャベルを持って移動している姿を目撃したとしたらどうでしょうか。
 帰ってこない鉄平は埋められた、と思うのが普通でしょう。
 バケツやシャベルの準備を万端に、大石達は「北条鉄平を襲い殺し埋めた人物」について嗅ぎ回り始めます。
 そうして網に引っかかったのが圭一、というわけです。



 さてここで問題となってくるのが…「圭一がいつ警察の網にかかったか」です。
 遺体を掘り返そうとしている直前に、夜中うろうろしてるところを大石に見つかった…というのはない、と私は考えます。
 以下は19日〜20日にかけての、大石・入江の行動予想です。


・富竹の死体発見現場にいる大石達、「これが今年の祟りか」などと話している。「北条だと思ったんだけどな、裏目った」「娘が祭りに出かけて、しばらくしてバイクでどこかに出かけて…あれ?帰ってきたかな?」とも話している。鉄平がどうなったかまだ知らない。
 そこへ高杉課長の無線連絡。内容は恐らく鉄平の所在不明。(あるいは鉄平襲撃)

・圭一の置き忘れたシャベルが見つけられてしまう。舶来品の珍しいシャベルだが持ち主は不明。

・襲撃現場付近をシャベルを探しうろうろしているところや、バイクやバットを沼に捨てているところや、七時ごろランタンとシャベルを取りに家に帰ってきたあたりでは、圭一はまだ警察に見つかっていない。(これだと尾行されてしまい、その後死体を埋めにいくために圭一は尾行者を鉄平殺害現場までご招待してしまうことになる)
 たぶん、雨の中シャベル片手にずぶぬれで自転車を漕いでいるところを大石あたりに見つかったのだろうと思われます。(遺体を埋めた帰り道)
 で。圭一の進行方向が家のある方角なので、これはおそらく遺体を埋めた帰り道と判断、しばらく泳がせようと判断したか、
 あるいは――これが一番考えられるのだが、「ああもしもし」とふん捕まえて尋問しようとした矢先に、圭一が転倒し鷹野の自動車に跳ねられそうになったか、だろうと思われる。
 …既に富竹の死体は見つかっており、鷹野はその重要参考人でもある。まだこの時点で「鷹野」の死体は見つかっていないけれど、最も事情聴取したい人物であることには変わりない。富竹と祭りの間中行動を共にしながらも、遺体発見後は恐らく行方をくらまし、鷹野は事情聴取など受けていないだろう。(←いずれ死亡時刻のおかしい自分の死体が見つかるわけだし、なるべく早々に姿を消しておかないとまずい)
 …容疑者である、と言ってもいい。
 ただ、遺体を埋めてきたっぽい挙動風体の圭一と、死んだ富竹との最も時間的に遅い目撃証言を持つだろう鷹野との接触を、もしも警察が目にしていたなら――たとえそれがただの偶然であったとしても、双方の関連性を疑わざるを得ないだろう、と思うのです。
 つまり、この二人がたまたまこの夜に出くわし、家まで送ってもらうため車に同乗したりとかしたせいで、
 行方不明になった北条鉄平と、何かを埋めてきたらしい前原圭一と、凄惨な死体となって発見された富竹ジロウと、その事件の重要参考人でもある鷹野三四とが、一本の糸でつながってしまうわけです。それを傍から見ていた人の頭の中では、恐らく。
 大石の頭の中では「オヤシロさまの祟りシステム」「村ぐるみの犯行」なんて単語がもうちらつきまくってしょうがないでしょうね。
 (ちなみに鷹野が腕時計を見たのは自分である死体の死亡推定時刻とのずれを気にしたためかと思います。本来なら完全に姿を消してないとまずいから)
 で、大石は鷹野の車を尾行。
 圭一を無事前原屋敷に送り届けたのを確認し、引き続き鷹野の車を尾行。
 鷹野が事故現場近くに富竹の自転車を置き去るのを確認し、それから車が向かうだろう、鷹野の隠れ家みたいな場所を突き止めると思われます。




 で、翌20日。



 鷹野の監視は熊谷あたりに任せ、大石は朝から圭一を尾行します。
 学校にやってきた圭一を出迎えたのは、皆昨夜の圭一の行動を一体どこまで知っているのやら…、これでもかというくらい露骨なアリバイ工作の嵐。
 わけがわからず「…もう一人の俺が雛見沢に?」とかバカなことを考える圭一。
 そして沙都子に「昨夜、叔父は帰って来なかっただろう」と訊ねます。
 ――圭一がもう一度死体を掘り出すよう仕向けるために、古狸の大石あたりから「もしそういう事を誰かに訊かれたら昨夜も叔父は帰ってきたと答えろ」と言い含められていたか。
 ――あるいは祟りの執行者として既知である圭一へのトラップか。
 沙都子は「昨夜も帰ってきた」と返答。深く突っ込まれる前に取り乱しその場を去る。
 魅音、レナ、「沙都子もアリバイ工作に協力してくれている」と勝手に判断。
 目の色が違う二人に「いいからとにかくそういう事にしておけ」と暗に迫られる圭一。
 まだ納得していない物分りの悪い圭一の軽挙妄動を縛めるため、二人は行動を抑制しようとします。一緒にダム現場へ宝探しに行こう、と。仲間らしく腹を割った話をせずにアリバイ工作をフレンドリーな態度で続けるのは、恐らく、警察の監視にも気付いているということでしょう。
 不可解な態度を取り続ける二人が怖くてたまらねえ圭一は、「病院へ行く」と行って逃げます。病院ならいいよ、という態度でレナは了承します。必ず行けと念を押して。
 圭一が昨夜の記憶を確かめるため、学校へ戻ってバットの不在を確かめたりしている間に、(←警察の監視があるならこの行為さえかなり危険)超特急で魅音と合流したレナは、次段階の策を講じます。
 入江に電話し、「これから診療所に圭一が行くけど今日は少し精神が不安定で変な事しゃべるかも知れないから、疲れてるだけだとでも言って落ち着かせるような薬を処方してやって下さい」みたいな事を頼む。(この辺レナあたりがうまくやりそう。こういうの経験者っぽいし)
 帰宅した圭一、大石の尾行を引き連れて診療所へ。
 診療所に入ってゆく圭一に、大石は鷹野の上司でもある入江もまた昨夜の「祟り殺人」に関与している可能性が高い、と考えます。(大石は少し前にあった校庭での一件を思い出して、引越してきたばかりの圭一が自分に対してあのような他の村民同様の排他的な側面を見せたのは、誰かにコントロールされている可能性が高い、そしてそれは入江かも知れない、とか考えてるかもしれません) 
 五時ごろ診療を受ける。沙都子の理解者でもある入江に洗いざらいぶちまけちまう。
 入江、叔父を殺したという圭一の告白に対する返答・第一声の中で「ふふふ…」とかいう笑いを含ませている。まず間違いなくこいつは圭一の凶行を何らかの形でアシストしてるっぽい。
 入江、話の真偽を確かめるとか言いつつ犯行の一部始終を細部に渡って聞き出す。
 全部訊き終わるのが六時ごろ。もう圭一は用無しなので、二人の依頼通り(通りか?)、睡眠薬入り紅茶で眠らせようとする。
 一方その頃。診療所に入ったまま一時間以上出てこない圭一が、何らかの証拠隠滅的な措置を受けてるんじゃないのかと疑い始めた大石、診療所に電話をかけます。「前原圭一くんそちらにいらしてませんかぁ?」みたいな。
 圭一、睡眠薬を盛られる事を運良く察知、大石と入江との電話中に診療所窓から逃げ出します。そしてそれを目撃する大石。
 大石は、入江が圭一に対し逃げ出す必要のある何かを行ったと判断。
 逃走する圭一を誰か代わりの人間に尾行させ(小宮山にしとこうか)、大石は診療所を直接訪問。圭一さんに何したんですか?という名目で入江を締め上げます。
 圭一には感づいて逃げられたと知り、しどろもどろにならざるを得ない入江。
 そのまま、割って入る「山狗」あたりとちょっとしたいさかいになるかも。
 大石、急に態度を翻し、「ま、いいでしょ。すぐにわかることです」とか言ってあっさり去ってゆく。入江をこの場で強引に吐かせるよりも有効と踏んだか、早く黙らせなきゃヤバい存在であるだろう圭一を(←このことを入江の態度で確信する大石)、圭一にいろいろ動かれると困る人々に対しての、エサにするつもり。詩音方式。


 日暮れ後。圭一はシャベルを手に森の中へと向かう。
 圭一をエサにのんびり釣り糸を垂らしていた大石、「おやおや」とか言う。きっと言う。
 あらかじめ用意してあったシャベルとバケツを携え、穴掘りを始めた圭一の前に現れる。
 この時点で警察、死体遺棄場所特定。(と思う。)
 穴を掘らせつつ圭一を尋問。死体を押さえるつもりが…穴はあったけど死体はない。
 圭一をほったらかしてみんなで相談。圭一は何も知らない、奴は確かにここに埋めたけど誰か別の…祟りシステム?上位者の手によって移動させられた、と判断。
 圭一はもう用済みとなるため、放置してその場を去る。尾行も一切解除。
 で、大石からしてみると、その「上位者的立場」の可能性があるのは入江くらいのもの。
 降りしきる雨の中、圭一を置き捨てた大石達の行き先は入江診療所。
 再訪し、「死体はどこだ、入江の先生」とか言って露骨に締め上げ始める。
 でも死体を移動したのは入江ではないため入江は答えられない。
 またまた割って入る「山狗」。
 「ふん、まあ。いいですよ。入江の先生がご存知ないってんなら、お連れ様にお聞きするまでですから、ねぇ…?」とか意味ありげなことを言い出す大石。
 これは鷹野のことを言っていると気づくのは、実は裏で鷹野とつながっている入江のみ。入江、顔面蒼白に。
 大石が、身を隠している鷹野の所在を突き止めていると思う入江。
大石が自分と鷹野がつながっていると見抜いていると思う入江。
 大石を消そうと決心する。
 でも大石は百戦錬磨の警官なので消すことはむずかしい。
 そこで。



 * 入江による大石の正しい倒し方講座 (初級編)*
 

1.大石が通りかかるであろう道に、通行の邪魔になるよう誰かの車を止めておく。
2.中には予め用意しておいた、高濃度の硫化ガスと熊谷君のセット。
3.大石やってくる。
4.車邪魔。
5.クラクション鳴らす。
6.動かない。
7.大石、無線で署に車両照会をする。
8.車両照会をしてもらってる間に車を確かめようと外にでる。
9.く、熊ちゃん!窓から車内に倒れている熊谷を見、カギの開いてた車に飛び込む大石。
10.ドアを閉め外から皆(山狗等)で押さえる。窓も防弾ガラス。すぐにおとなしくなる。


 ちなみにこの硫化ガスは沼から採取した。
 実は過去より、沼からはこのガスが定期的に少量漏れ出している。
 ガスの影響で体調を悪くしたりそのせいで精神を病んだりという患者は慢性的に出ていたが、村のマイナスになるので隠していた。ただその治療にあたる入江は知っていたりする。
 硫化ガスを採取する際、何か採取できる量が増えたように感じる入江。

  
 証拠隠滅のため、二人を乗せて大石車は沼へダイブ。
 バイクやバットまで沈んだように、沈んでゆく車。
なんか描写見てるとこの沼浮力が異様に小さそうなので(←調べてみたら、温泉水は地下水よりも高温でガスを含むことが多いため比重や粘性が低いんだそうです)、この大質量は徐々に速度を増しつつどんどん沈んでゆき、着底。
 沼の下には温泉。
 バイクだの車だの放り込んだ衝撃で、硫化ガスがますます量を増し沼の表面から漏れ始める。


 異様に泡を吹き始めた沼の表面を見て、や、やっちまった!と気付く入江。しかも地元民の近寄らないこの沼から異常量のガスが出てる事に気付いた時にはもう、自分もまたかなりの、取り返しのつかない程度の量を吸い込んでしまっている事に気づく。
 帰る道中、早くも入江の肉体に症状が現れはじめる。
 苦しんで死ぬくらいなら…!と、その晩の内に睡眠薬自殺。


 21日一日かけて、少しずつ濃度を増してゆく。(ちょっとずつ臭いに慣れてゆく) 
 21日の雛見沢の皆さんは全員が若干チアノーゼ気味の顔色できっと物凄く怖い。
 雛見沢住民全員の致死量に達するのが、22日午前2時〜4時。窒息死。




 大災害、起きちゃいました。




 21日にも雛見沢をうろうろしてた葛西も死ぬ。詩音も同様だが、裏でいろいろあったため精神の方に害が出て自殺。
 大災害を逃れた雛見沢非在住の親戚とかも、雛見沢を訪れた際に雄大大自然の中で健康なガスをたっぷり吸っているので(少量でも定期的に吸えば蓄積して害も出ます…モノにもよりますが)、村がガス災害により滅んだという事実からプラセボ効果にかかり(…暗示っつうか、肉体が実際に被っている害を必要以上に拡大して認識してしまうっつった方がいいか。)一部ではそのまま亡くなってしまう方も出る。
これはれっきとしたガス吸引による健康被害による死なのですが、状況的にいって祟りとかに見えてしまう。
「忍び寄る不可視のガス」とか都市伝説が生まれる。混乱発生。
雛見沢症候群”の完成。







ひ ぐ ら し の  く 頃 に




(どーーーーん)









…ていうか、

こ ん な 結 論 で 納 得 で き る か 。


梨花の死はどうした!鷹野はどうした!富竹はなんで死んだ!避難中事故死とか窃盗の痕跡とか弾痕とかはどう説明する!あと入江の目的は!?なぜ鷹野と組んでた!?
ハア。まだまだ別の方向から切り込んでく必要がありそうです。