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さて。今日はまたまた考察対象が飛んで申し訳ありませんが、ちょっと思いついたため「大災害のシステムについて」考えてみたいと思います。
実は昨日、水の比重について調べる際、温泉についてまとめられたNPOのレポートを読んでいたのですが、そこになかなか面白いことが書いてありました。
なんでも、温泉水と地下水は地中で水脈や水路を共有していることが多く、また成分の相違から両者の間には「境界」がおのずと現れ、圧力もまた発生するそうなんです。
また、一般的に温泉水は地下水と比べ、ガスを含んでいたり粘性が低かったりするそうです。
実は、どこかで魅音が言っていた、「遠くの泉が枯れたら村の井戸も枯れた」…みたいな表現が、ずうっと気になっていました。
このあたりから考えた、「大災害」の原因…そしてダム建設への反応の本当の理由について、雛見沢の歴史を(憶測で)追いながらちょっと書いてみたいと思います。憶測で。
* 雛見沢の歴史 *
大昔。(数百年前くらい?)
山奥の寒村において、日照りが続くか、村はずれの沼から流れ出す川の水量が増すか、あるいは新しい支流ができるか、などの出来事があった。
で、沼の水量が下がるに従い、いきなりガスが噴出。それなりの人的被害が発生。
科学的な裏づけのできない時代。村人達には理由がわからず、「祟り」にしか見えない。
村内に異変がないか調べると、村はずれの沼がぼこぼこ泡を吹いてる。驚愕。
「な、名主様、これは…!」「お、鬼じゃ…。地の底の国から鬼が出てきて、わしらを祟ったんじゃあ…!」「ひいいいい!」みたいなやりとりがなされる。
しかし貧しかった雛見沢住民達は移住もかなわず、ガスで苦しい体を抱えながらの日々を送る羽目に。
畏怖をこめ、沼の名前と村の名前が鬼ヶ淵になる。
ある日、その村をフレデリカ(フレデリック?)という一人の異人が訪れる。
舶来の知識人フレデリカ、村が現在のような状態に陥った同時期に地下水圧の減少もしくは沼の水量の減少などがあった、という話を聞きだし、何らかの方法でそれを解決する。
恐らくは川の一部をせき止めるとか、沼の水量を再び増やすとかしたものと思われる。
「地の底から来た鬼の祟り」がやみ(実際は気にならない程度に軽減しただけ)、村人は感謝感激雨あられ。
また、フレデリカは同時に、なにげにこっそり沼から湧出している温泉の効果にも着目。ガスの効果とは無関係な重病人などを温泉(当時の沼の一部か?)に漬からせ、治癒させたりなどする。
鬼ヶ淵の人々、祟りを鎮め病人を癒すフレデリカを聖人とみなす。
フレデリカを鬼と人との仲介者「オヤシロさま」とし、重要な位置づけを持って村内に迎え入れる。
鬼と人とオヤシロさまとの昔話、ここに完成。
…さてここで大災害、ガス湧出のシステムについて考えてみたいと思います。
沼の底に温泉があり、さらにその下にマグマ溜まりがあり、ガスを噴出する可能性を持つ――というのは祟殺し編ラストで語られている通りです。
ただ、このガスってのは恐らく、ある程度たまったら巨大な気泡となって浮き上がり噴出しているのではなくて、
――おそらく温泉水に含まれる形で、地下から発散されているんだと思います。
現在の雛見沢の鬼ヶ淵、その沼の底から湧出している温泉水。その湧出に伴うペースで、含まれるガス成分は、沼の水面に達した際、空中に解放されたりします。
つまり何が言いたいのかというと、ガスを内包する温泉水、そしてその温泉水を薄める多量の沼の水とが、大気中へのガスの放出を弱めている――クッションとなっているのではないか、という事です。
――で、沼の水がもし減ったりなんかした日には、ガスの放出が早まってゆくわけです。沼内の水量全体における、温泉水の成分の比重が増すわけですから、いやでも早まります。
(加えて言えば、温泉水の水脈に関しては何も沼の直下のみに存在するものではないでしょう。要するに何が言いたいのかというと、何処かあまり関係ない場所で多量の地下水がくみ上げられたりなんかしても、地下水圧の大幅減少にしたがって温泉水の地下水圧も減少、沼の底からひそかに湧出している温泉の湧出量もしたがって減少。沼直下のマグマ溜まりから現れるガスが、層を減らした温泉水に十分含まれないまま、ぼこぼこと沼の表面に出てきてしまう、なんて可能性も考えられるわけです。)
で。この現象が極端になると――ガスが比較的ダイレクトに大気中にばらまかれ、大災害、となるのだと思われます。
以上、大災害のシステムについての考察でした。
さて、話を戻します。
「オヤシロさま」となったフレデリカですが、なぜかここで何らかの理由により生贄が必要になってきます。
考えられる理由としては、
1.やはりそれでも軽度のガス散布による被害がなくならないために鬱積する村民達の気分を晴らすため、村民皆で「鬼」となることで共同体意識を高めつつ選民意識を育てて憂さ晴らしの凶行に走るスポーツ、「綿流し」を発案。(←ちょっと乱暴すぎる考え方か…)
2.沼に流れ込む沢や、あるいは沼そのものに、人体の体液を流し込む必要があった。
(↑沼の水質の粘性を高く維持するため?にしちゃ、人間一人分の体液じゃ貧弱か…。あと粘性を保つ理由って何だよ。うーんわからん)
3.オヤシロ様の権威を保つため、実はなくなってはいなかったガス中毒の症状を見せる、あるいはそれとわかってしまう人を村内から抹殺するため、綿流しという生贄システムを考案。生贄の選定者はもちろんフレデリカ。
などがありますが、どれも弱い。正直わかりません。強いていうなら3だろうか。…とにかく、オヤシロさまが標的を定め、村民みんなでそいつをとっ捕まえて綿流すという世にも恐ろしい風習が始まります。恐れられてゆく、古代の鬼ヶ淵村。
そんなある日、息子の病気を直して欲しいという母親が現れます。
オヤシロ様ことフレデリカは、息子を温泉に漬からせ、病気を治してやります。
その代償は、母の綿流し。そして母はそれを承諾します。
しかしここで問題発生。恐らく外来者である息子が、温泉のそばに長くいる内にガス中毒を発症してしまいます。
やむなく、フレデリカは村内に命じ、親子ともども捕まえて綿流します。
この事件で恐らくフレデリカは、効能のみならず害もまた強い温泉原水を、完全に水没させる事にしたんだと思います。
何らかの方法で水量をますます増やし、(井戸等、地下水の使用を厳しく制限するなど)水没した温泉は雛見沢の歴史から完全に消えます。
しかし一部の特権者階級の人々の記憶には受け継がれ、そしてフレデリカ亡き後も沢で、そして沼で綿流しと称する凄惨な生贄儀式は続けられてゆきます。
おそらくは、園崎家地下祭具殿の古井戸も沼と水脈を同じくしているのでしょう。(…いや、これはただの憶測で、その持つ意味とかまだ全然わかってないんですけどね)
そして、昭和50年代。
ダム建設の話が持ち上がります。
ダム建設に際しては、恐らく鬼ヶ淵の水量が下がるような工事が行われる予定だったんだろうという事は、想像に難くありません。
多くを知る村長・公由家は反対します。古手の直系である神主の妻も反対を唱えます。
…で、当初何も知らされていなかった末席・園崎は、ダム誘致に賛成していたと。
しかし御三家筆頭公由家とオヤシロ様の一族古手家からさまざまな事情をここで初めて聞かされた園崎は、一転してダム建設に強硬に反対を唱え始めたんだと思います。
当時既に実力者であった園崎がリーダーシップを発揮しここまでやる気を出したのには、恐らく別の事情もあるのでしょう。
正直政治の世界にさえ食い込み暴力団とのパイプを有し他の周辺地域にさえ強い干渉力を持つ園崎にしてみれば、雛見沢にこだわる理由は郷土意識やナショナリズムくらいのもんだろうと思われます。あとはメンツか。
ただ、このダム建設が進んだ結果、園崎の名前が地に堕ちるとなったらどうでしょうか。
工事が進んだ結果、沼から有毒ガスがわんさか出てくるのはもちろん困ります。
まだ移住が済んでない状態でそんなことされたら村は水没するまえに死没します。
けれど、沼の底に何があるのかを考えると、…ガスどころの話ではないのかもしれません。
自分達はまったく関係ない、たまに指差され揶揄される程度の。そんな遠い遠い昔話の中の出来事ではあるのですが。
…沼の底から、長年に渡り蓄積された無数の人骨がでてきたら、村の皆はどうなるでしょうか。
恐らくこの先、一生まともには生きてゆけないでしょう。
「人食い」と蔑まれた過去の歴史を裏書してしまいます。
持てる者である園崎は、人一倍背中に刃を突きつけられているのと変わらない為、人一倍全力で頑張ってしまいます。
大臣の息子を誘拐までします。ていうか正直やりすぎだと思います。
そして、恐らくダム計画白紙撤回の密約はこの時点でなされていたと思うので、
あの現場監督殺人事件は御三家の仕業ではないと思われます。
時期的に計画凍結の発表が出る前あたりではあるんですが、あの殺人が恫喝としたところで、効果があるとは思えません。関係者各員へと雛見沢の力を見せ付ける意味での脅迫、としてもやはり説得力は薄いです。現場監督を殺す以外にいくらでも効果的な方法はあるでしょう。誰か殺す事でしかダム計画を防げないと考えているのならもっと早く殺しているし、そもそも要人の孫誘拐なんてしないでしょう。
ただ、あの場でダム工事の現場監督が殺されれば、犯人が誰になったところで結局雛見沢の誰かがそうさせたんだろ、と誰しもが思います。
つまりあの事件の犯人は、その土壌を利用した誰かだと思います。罪を着せる意思のある、隠れ蓑にする気のある誰か。て事ですね。
私は、雛見沢の人々の凄まじい妨害行動により精神肉体に不調を訴えた、ダム工事現場で働く人々の診察なども受けていたに違いない、入江が怪しいと考えています。
なんらかの向精神効果のある薬とか盛って、凶行に出るようコントロールするためのテストでもしてたと思う。
で、その薬剤ってのは硫化ガスと関係の深い物質なんじゃないかと。
話がそれました。元に戻します。
…で、時は流れ、ダム計画の凍結のなった昭和58年。
大災害の起こる「暇潰し編」あるいは「綿流し編」。
ここから先はまだよく憶測できていないので曖昧ですが、
・6月22日夜に、
・恐らく鬼ヶ淵の水量が激減するような何かがあったのではないか、と思います。
さて、こいつをやらかしたのは一体誰かっていう問題ですが。
圭一の穴掘りにつきあい、妙な古い水道管みたいなものを掘り当てた大石は結構あやしいです。
ただ、大石はこの後すぐに一件の車両照会要請をし、そのまま車ごと消息を絶ちます。
恐らくきっと消されています。大石がああいう不自然な形で姿を隠す理由もないし。
となると、大石と一緒にいた(推定)警官達、があやしいです。
彼らは死体捜索の傍らその水道管にも不審を抱き、
それがどういうものか判明させるべく辿ってゆき、
どういう形でかはわからないけれど、動いていないそれを機能させてしまったのではないでしょうか。
で、それは鬼ヶ淵の水量調節用に村で設置した装置だったので、
管を通って鬼ヶ淵の水量は一気に減少。
湧水である温泉水を多少残し、鬼ヶ淵が人骨に覆われた湖底をさらけだす。(これぞまさに地獄温泉)
異常量のガスが大気中にばら撒かれる。
22日午前、大災害発生。
その後しばらく鬼ヶ淵は枯渇しているが、徐々に水量を取り戻し、調査隊が訪れた時には変わらない水量を保っている。
…以上、名づけて「鬼ヶ淵沼は一種の腐海みたいなもんだったんだよ」説。
ひ ぐ ら し の な く 頃 に
(どーーーーん)
しつこいですか。そうですね。
しかしまたしてもこの推理では梨花の死やら過去の連続怪死事件やらについての考察がごっそり抜け落ちており、また窃盗の痕跡とか弾痕とかカレーフランスの事故死とか(略)
まだまだ、他方向から考察してゆきたいです。