<何で鬼ヶ淵はコンクリで固められたのか?>


 今日はこちらの考察です。
 実はこの考察は、以前閲覧者の方から頂きましたメールに対し検証・自説等を返答させて頂いた際に作成したものの一部だったりします。
 検証大歓迎でございます。皆様の推理をどしどしお寄せください。


 さて。
 罪滅し編のどんでん返しTIPS「悪魔の脚本」にて(私も見事に引っかかりました)、平成17年の鬼ヶ淵沼は既にコンクリートで固められている事が明らかになっています。
 しかも埋め立てられたのは大災害のすぐ後。
 政府からの公式発表では雛見沢は沼直下の温泉から噴出した硫化水素ガスによるガス災害って事になっているのに、ガスの噴出孔たる沼をコンクリで埋め立てるなどという無意味な対処が行われた。
 政府の不可解な対応に首を捻らざるを得ない訳なんですが――


 えっと、まず。
 ガスの噴出孔をコンクリで埋めるってのがおかしいのは何故かと言いますと。
 そんな事しても、地上に噴き出ようとするガスを抑止することはできないからなんですね。(いやまあ、この辺の仕組みはべつに説明要らないっぽいですが…)
 実例を挙げて簡単に説明するとこういう事です。(ページ一番下の表の一番上の項目)


 http://www.iamp.tohoku.ac.jp/~liquid/MURA/hitorigoto/gas-kiji/h2s.html


 まあ以前にちょっと調べただけなんですが、この事故は、「地獄」と呼ばれる温泉源泉(ペンペン草一本生えてないような、変色した岩がゴロゴロしてる場所)が雪で塞がれたせいで、そこから噴出するだけだったはずの硫化水素が、下流の方から溢れ出て川沿いに下って旅館を直撃してしまったよ、というケースですね。
…ガスは気体。どこからでも漏れる。
…また、穴を開けた風船を、穴をしっかり塞いでから膨らまし続けると、別のところから割れる。
 まあ要するに、噴出孔にどでかいコンクリのフタをしても結局ヨソからガスが漏れてしまう――ってわけですね。



 じゃあなにゆえ政府はこんな対応をしたのか。という話になってくる訳なんですが、
 私は風評被害ゆえの対応なのではないかな、と考えます。



 災害の一日前にレナが寄生虫だの宇宙人だのと叫んで学校を占拠しました。
 要求はこれらの「陰謀」に対する調査でした。
 自らの主張の補強としてレナが警察に引き渡したスクラップブックには寄生虫説やら宇宙人説やらが沢山載っていたわけです。
 普通なら、全て――おかしくなった女生徒の単独犯行、で片付けられる事件でしょうけれども、一日後に大災害が起きてしまいました。
 そのせいで、ちょっと妙な反応が世間に広まってしまいましたね。
 一村全滅というショッキング(あるいセンセーショナル)な事態から、恐らくは流布されたトンデモ説やら何やらを背景に…雛見沢出身者に対しては“魔女狩り”めいた、あまり好意的でない態度が取られたようです。 
 で…レナが自らの主張に使用した事もあってか、雛見沢村にある鬼ヶ淵沼に対しても似たような眼差しが向けられていたようですね。
 つまり、UFOが沈んでるだの寄生虫の温床だのというトンデモな話が、普通起こり得ない規模の大災害によって信憑性を得てしまったわけです。


 で、鬼ヶ淵のある雛見沢は封鎖されているわけですが、しかし雛見沢は山奥の村です。
 鬼ヶ淵は雛見沢の水源地の一つでもあったわけで、当然、川に連結していた事が考えられます。
 で当然、川の下っていく先は、自衛隊の封鎖の先でしょう。
 つまり何が言いたいのかというと、要するに鬼ヶ淵の水の流れ込む川を生活用水に用いている地域の人々/流域の人々が、“寄生虫の混じった水を飲んでる地域の奴ら”などと、雛見沢に対する風評被害から新たに派生した風評被害に巻き込まれ、被害を受ける可能性があった…という事です。
 ――それゆえに、政府は大災害後、あやしげな噂が広がり始めるにつれ、風評被害の波及を防ぐ意味でも、早い段階で沼を埋め立て「元凶」を絶ってしまった。
(説がどれだけトンデモでも、そいつが信憑性を得た時点で、それによる風評被害は実害として存在し得てしまうからどうしても対処せざるを得ない)



 こういう事なのではないか、と思われます。



<ちなみに>


 硫化水素の噴出が止まらない場所ってのは元来、こうなります。(写真等参照)


http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/ada/ada.html


 これと、20年の長きに渡る封鎖解除後の雛見沢の描写とを比べると……色々妙だなーと思う部分も出てくるわけなんですが、それについてはまた後日の考察で。