<悟史はどうなったんだよ>


 皆殺し編終盤で、悟史がどうなったかについてはコメントを差し控える鷹野。
 緑の方がブロッコリー、と正解するともれなく銃殺されるという理不尽っぷりから判断しても、どうもメーテルはまともに答える気がなさそうだったわけなんですが(笑)
 今日はこちらについて少し考えてみたい。


 率直に言って、
 昭和57年に監督が悟史のメンタルケアをしていた事やら、
 また皆殺し編ラストでの「祟殺し編で消えた沙都子がどうなったか」を匂わせる鷹野の台詞やら、
 また「誰かに尾けられている」と語りバットを持ち歩くようになった失踪直前の悟史やら、を総合的に考えてゆくと、
 多分…悟史は祟殺し編の沙都子と似たような末路を辿ってしまったのではないか、と思われる。


 で。以下はもうホント、悪夢のような憶測なんですが。


・悟史もまた、虐待の日々を経て、発症の条件を満たしていた。
・昭和57年に“虐待をしていた”“悟史の叔母が”“根深い恨みを感じさせるやり方で”“金属バットで殴り殺された”為に、発症によって生じた殺人犯とみなされ、山狗に可及的速やかに拘束される必然が生じた。
・村中が敵という被害妄想もあったし、追跡妄想も生じてはいたが、実際山狗に尾け回されていたのも事実であり、自衛の為バットを持ち歩くようになった。
・警察の捜査の手が悟史へ及び、山狗の尻に火がついた。
(もしも詩音のアリバイ偽造がなく、おもちゃ屋を出たところでの大石の任同が防げなければ、取調べ中に留置所で“事故死”させられていたかも知れない)
・沙都子の誕生日、悟史が興宮へ行ったタイミングで拉致られた。
・入江は悟史がどうなったかを全部知っている(←悟史はL5発症者として処置された)か、あるいは、何も知らずただ悟史が消えた事を聞かされただけ。(←悟史が発症して叔母を殺したものと判断し、鷹野以下の山狗に悟史の確保を命じはしたが、「その後監視中に行方をくらました」と事後報告を受けただけであり、行方については何も知らない。悟史の身柄は密かに鷹野のルートを通じ、症候群サンプルとして彼女の“上”に送られた)


 …こうだったんじゃないか、と思う。


 で。上のような前提を経て、
・叔母を殺したのは悟史ではなく沙都子だった。
 (以前も書いたけど)もしこれが真実であったならば、凄え悲惨だな…と思う。


 長くなるので詳しくは書かんが、後頭部への一撃が悟史によるもので、顔面への執拗な殴打が沙都子によるもので、両者の犯行に時間的な差があり、また互いの犯行の事実を知らないような状況だったとしたら…。
 監督が圭一に語るカウンセリングの内容にも見る事ができるが、悟史は外柔というか何と言うか、対人関係を潤滑に保つ傾向にあったらしい。良い関係を築けない沙都子を虐待から庇い続け、そして虐待そのものの消去を狙って叔母を消すことを考えたとしても、悟史自身の性向もあって、彼個人の中に根ざす叔母への恨みの感情てのはどこかしら他人事の色を帯びるだろうと思う。
(いや、実際自分も含めて虐待されたし、また妹を庇うことで虐待の被害に遭うのはもっぱら自分なんだから、全然他人事じゃねえよと言えばそうなんですが)
 ぶっちゃけ、悟史に殺害動機があるとしても彼としちゃ叔母を消去摘出できさえすればそれで大方の問題が解決するんだから、もし私が悟史だったらわざわざ仰向かせずにそのまま後頭部潰すと思う。できるだけ少ない回数で。
 で、仮に悟史が事務机を餌に叔母を誘い出し、後頭部を一撃して殺したと判断し、帰宅したとする。するとその場合、しばらく後で家に警察が来て、死体発見現場に連れてこられ、なんとまあ『顔面を潰された遺体』と対面するわけだ。
 たまたま通りかかった親切な連続怪死事件の犯人がとどめ刺しといてくれたー、なんて都合のいい事思うわけがない。まあ恐らく沙都子を疑う結果になるだろう。
 そうするともう、悟史としちゃ後はひたすら、いつものように妹を庇うしかない。自分が殺した可能性だってまだ残るわけだし、レナだろうが魅音だろうが梨花だろうが、真相を誰かに告白するような真似はもう不可能だろう。後は消されるまでずっと黙ってるしかない。


 で。もしこの妄想が当たってりゃ、よりにもよって妹の誕生日に失踪した悟史は、ちゃんと兄貴らしく妹を護って消された事にもなるわけで…
 うわぁ――悲惨。
 私ゃこんな真相はイヤだよ哀しいよ。
 まあ…L5で認識異常を起こした沙都子が、誕生日にぬいぐるみ持って帰った悟史を、もういない(とっくに死んでる)叔母の帰宅と間違えて襲いかかって殺してしまった、なんて真相よりは百倍いいけどさ。
 どうかはずれますように。(笑)


<考察以外>


 ひさびさに「planetarian」をプレイし、やはり涼元の文章はピンでもええのうと思い、キネティックノベルとかの次回作が出てないかなと思って調べたら、それどころか涼元はビジュアルアーツをクビになっていました。
 …ハッハッハ。そんな現実認められねー。(←矛盾表現)