要間隔

<以下の文章はネタバレを含みます。注意>


とある方よりこのような私信(?)を頂きました。


ひぐらしの新しいのが出ると毎日記事更新してたお前が、何か全然更新してないっぽいけど、どしたん? ガッカリしたん?”


あー。えっと。
ちがう。




…うーん、怪死事件の真相を例に挙げて説明するとですね…。



一年目:症候群で殺し合いに。負けた人が死亡者で、勝った人が失踪者。(山狗拉致)
二年目:まとめて沙都子が突き落とした。
三年目:梨花絡みで揉めてまとめて消された。
四年目:悟史が撲殺し、患者として拘束された。ちゃんと生きてる。
五年目:偽装死した鷹野が富竹を怪しい注射で怪死させた。



例えばこれらは、祭囃し編にて明らかとなった事柄なわけですが。
…私は。
皆殺し編を読んだ後でもなお、めっちゃくちゃにねじまがった構造を前提として考えておりまして。



一年目:永らく研究の停滞が続き、相応の研究成果の提示(しなければならない)期限を先に控えて、症候群の研究用の生体を求めた鷹野−山狗あたりが独断で、ダム計画中断工作を意図的に遅延。(←犬飼寿樹の誘拐みたいな試みの事)
 これにより凶暴性やら負の感情やらとの長期間に渡る同居を余儀なくさせられた住民達の中から、高レベルの症状に達する患者の発生を待った。
 しかし目論見通りに現れた披験体とは皮肉にも、住民達ではなく一番攻撃を受ける立場…村民でも何でもないダム建設作業員であった。色々な実験に使われる。


二年目:ダム推進派の取り纏め資金&謝礼として裏から金を受け取っていた北条家だったが、ダム計画凍結により全額返却を求められる。
 しかし計画推進中の数年の間に、生活が苦しく既に手をつけてしまっており、どうにか一年間は(工作を続け、村内の意見をダム賛成でまとめて計画再開の呼び水にするとか理由をつけて)待たせたものの、結局何の目処もつかなかった。
 綿流し祭の日に村内にも居辛く、その日に最後の家族旅行をして一家心中しようと考えるが、悟史は複雑な事情から同行せず(ただの野球の試合ではなくて、疲れる日々に悟史は半分音を上げかけており、これが沙都子との親睦を深める旅行であるのなら三人で行ってくれ、もう一人にしてくれ的な事を親に訴えた)、やむなく三人で心中しようとするものの、崖の上で沙都子に強く拒絶され、突き落とされる。
 親を突き落とした事と親から突き落とされかけた事、このふたつが沙都子のトラウマになる。そのせいで沙都子の症状のレベルがヤバイ域に達する。
 金は建設省が回収するよりも早く、同様に生活に困っていた叔父夫婦が形見分けに突撃してきたところで素早く家捜し&発見、遺産認定&相続。


三年目:梨花の母親が診療所に協力して得体の知れない検査とか受け続けている娘に隔意を深める。教えてもいない事を沢山知っているとか、予知じみた真似をするとか、露呈される奇妙さに対してもはっきりと拒絶反応を示し始める。当然もともと円満とは言いがたい古手家内がギスギスし、祭の準備やら奉納演舞の練習やら(梨花の演舞は57年から)で忙しかった神主は心労を重ね、最も忙しい祭当日にあっさり逝ってしまう。
 その死に過剰反応しあり得ざる妄想をふくらませた古手母が激しく取り乱し、僅かに知り得た入江機関の内部情報を誰彼構わず暴露しようとする。大事を取って消される。


四年目:得た金が後ろ暗いものであることを理解し、金を手放すまいとする玉枝がひどく排他的というか攻撃的になる。
 偶然で三年続いただけの怪死…“オヤシロ様の祟り”を受け、虐待で精神的に追い詰められた悟史が四年目の祟りを実行しようとする。
 人の波が一旦途切れる中途半端な時間帯を狙って、「使えそうなタンスがある」と玉枝をゴミ捨て場におびき出し、後頭部をバットで一撃、その死体をゴミの陰に一旦隠して即帰宅。バットはゴミっぽく放置。
 警察が完全に撤収してから死体を処理するつもりだった。が、叔母は蘇生、ゴミ山から這い出したところで、奉納演舞を見ただけで会場から帰ってくるところの沙都子に運悪く遭遇。
 玉枝、沙都子も一味同腹と考え襲いかかってしまう。沙都子、親に殺されかける記憶がフラッシュバックし、即座に落ちていたバットで応戦。顔面を潰すまで殴り続ける。
 バットはその後どうにか、警察に見つからないルートを経てロッカーへ。
 死体はすぐに見つかり、現場検証に連れ出された悟史は誰がやったかを理解し、庇う。ひたすら黙秘。
 ぬいぐるみは買えたものの、自転車に詰めず車持ちの監督を呼び、代わりに迎えに来てくれた白ワゴンの鷹野に載せてもらい、そのまま(初年度の監督殺人の主犯と同じように)症状によって殺人を犯した個体――症候群の高レベル発症した生体として、悟史は拘束されてしまう。そして被験体にされる。(57年時、悟史も沙都子も症状はもうほとんど同レベルだった為、沙都子が手を下したという真相を見抜かれずに済んだ)
 玉枝の死後、残りの金(通帳)は建設省が悟史を通じて平和的に回収していた。


五年目:入江が6月の定期報告にて症候群の治療三ヶ年計画を提示。同時に“女王感染者の死が全村民の末期発症につながらない”という研究上で得た可能性を示唆。
 で、研究開始当初の目的の一つだった軍事利用を視野に入れず、治療して撲滅して研究をやめてしまおうとする“東京”を既に見限っていた鷹野は、これを軍事利用したい考えを明らかにしている勢力(外国勢力とか)と、研究を売る密約を交わしていた。
 ただし、鷹野はその手土産として、感染者全員を女王感染者の死によって全滅させるというサンプルデータを提示してみせなければならなかった。
 いくら村民の命が女王感染者の生死と無関係になったとはいっても、富竹を怪死させたようなH170のようなものもあるので、症候群自体が無価値になったというわけではない。
 けれど、鷹野が取引を望む以上は、女王感染者の死後に“結果として”村人を全滅させてみせなければならない――そのサンプルを一例挙げなければならなかった。
 そのため、女王感染者の死が脅威と考えられていた時に立案された緊急マニュアル34号を利用した村全滅計画を立て、そして同時に、「女王感染者が村人の末期発症を引き起こさない」という事を知った奴を(東京に報告される前に)全員始末した。



…こんな感じにひねくれねじまがった真相なんだろうと予想していたわけです。
 症候群研究とかダム戦争とか家族の悲しい行き違いとか妹を守る兄とか裏切りとか、そんなごちゃ混ぜの真相なんだろうと思ってたわけです。
(あー、必要ないとは思いますが誤解を避けるため一応書いときますと、祭囃し編読んだ後で上のような真相を思いついたわけではないです。これは過去記事なんかのツギハギで、祭囃し編前に見解をまとめた時に作ったもんです。皆殺し編までに得た情報だけで中身スカスカな上に、どっかで見た事あるような奇説が満載で、しかもそれでいて見事にハズれてますね)




 …んで。
 こんな「せっかく書いたけどまあ絶対はずれるだろうしアップすんのやめよ」と没にした無駄文をわざわざ引っ張り出してきてまで、私が何を言いたいのかというと。




 祭囃し編は終わったけど、解けてない謎はあるし、明かされていない答えもある。
 でもそれらは、それ以外の答えがことごとく「執拗にヒネられてはおらず、意外と素直である」事によって、…もう回答が提示されてると言ってもいいと思うわけだ。
 つまり、この期に及んでひねくれ歪みねじまがった謎を求める頭脳にはもう出番がない。




 そう結論した為に、未だ語られ得ない部分…いや、語られぬままに終わった部分について、いつもみたいにあれこれ考える気があんまり起きてこないのです。
 発売直後なのに更新少ない理由はそんだけ。


 まぁ…、「メモを破ったのは結局誰だったんか」とか「祟殺し編で死体移したの誰だったんか」とか改めて言い出すのは、少し頭を切り替えてからかな…。