年をまたぎ、10時間かかって読み終えました。
とりあえず……やっぱり、奴が犯人ですか…。


落涙までは至らなかったけど、涙ぐんだのは余裕で5回を越えた。


序盤の、他編の記憶をただ一人持つという孤島に取り残されたみたいな梨花が、圭一の見せた奇跡のせいでちょっと期待してしまい、傷つく…という辺りは非常に切なかった。
つうか解編はいつもいつも序盤から泣かしに来るね。
疲れた女とか書かせるとホント上手いなあと思う。
あと仲間という運命共同体の描き方は罪滅し編よりもこっちの方が好みだった。


児童保護に関する問題やら、村八分の問題やら、ホントに真正面から描写したのは凄いなあと思った。
圭一VS村の老人達、圭一VS鬼婆などなど面白いカードが目白押しでした。
というか私は途中からがたがた震えながら自分の爪を押さえつつ読んでいたね。
園崎本家での対談時、魅音・詩音・茜の三人は絶対、圭一の言動を見ながら頭の中で「一枚、二枚」とかカウントしてたに違いないね。
圭ちゃん、もうやめて…! それ以上言うと圭ちゃんの爪が残らなくなっちゃう…!
みたいな。


沙都子の問題は、圭一が、


①「もう沙都子を差別してないだろお前ら!なら引き取ってやれよ!」とか言い出して祭のオークションの会場で「沙都子の親権」を勝手に競りにかける。
 少しずつ、村中の皆が値段をつけはじめる。
 「みんな…。」村中に憎まれてるわけじゃない、と知る沙都子。
②鉄平のところに乗り込んで直談判。雀ゴロである鉄平と、北条家の居住権を賭けた麻雀勝負になる。
 大石も同席させての勝負となり、沙都子が燕返しを成功させ自分の居住権を勝ち取る。


みたいな流れで解決すんのかな、と思ってたら普通に正攻法で解決させやがりました。
…くっ。伏線だと思った私がバカみたいじゃないですかっ。(だってバカだろうお前)



とりあえず感想はこれくらいにして、


<わかったことまとめ>


*雛見沢には土着のウィルス性感染症が存在しており、住人は皆その患者だった。
*女王感染者から離れると発症の確率が高まるという性質のものだった。
感染症が重度に達すると、被害妄想・幻覚を発症してしまい結果として周囲に暴行。
*理由はわからんが女王感染者が死ぬと皆が末期症状になるというものだった。
梨花は女王感染者であり入江機関の研究に協力していた。
*沙都子は一度L5に達した重度の感染者で、日に二本の注射が欠かせない体だった。
*初年度の祟りで失踪した主犯は発症者であり、機関に拉致されていた。
*古手母は夫の死の際、研究を外部に漏らそうと考えており、既に消されていた。


原理主義者というか国粋主義者の結社より、感染症の研究者として派遣されたのが入江。
*結社の方針転換から兵器転用の道は既に閉ざされていたが、入江は治療法確立のために研究継続を希望していた。
*そのお目付け役が富竹ジロウ二尉、鷹野三四三佐。自衛隊絡みか。
*富竹は季節ごとにやってくる査察者、鷹野は常駐の監視者だった。
*入江や梨花を警護する「山狗」(番犬)は鷹野の指揮下にあった。


*鷹野は「爆弾を爆発させたい人」の閥の人間だった。
*富竹を始末し、自分の死体も用意して、東京には監視者を殺して入江が暴走したように見せかける腹だった。
*富竹の感染症予防注射をすり替え、L3に陥れたところで山狗6人がかりで自由を奪い、意識を失わせ、その後殺人薬を注入。L5にシフトさせて路上に放置、自傷死させていた。
*トレーラーに偽装した指揮所にずっといた。
*東京の決めたタイミングに沿う形で、梨花を護衛の山狗に襲わせたのも鷹野だった。
梨花の腹を裂いて殺したのは単に鷹野のセンスだった。


*大石と熊谷は雛見沢に通ずる電話線への工作を咎め、車両照会後に射殺されていた。
*入江の死は余計な申し開きをされないよう、大災害前に自殺を装い始末されただけなのだろう。あるいは入江もまた感染者であるだろうから、死を逃れられないと思い自殺したか。
*大災害は発症者の大規模騒乱を恐れる国の大量殺戮だった。
*行方不明者は逃亡時に銃殺されていた。駐在も応戦後に銃殺されていた。
祟殺し編の圭一は、後を引き継いだ災害派遣部隊に保護されたから消されずに済んだ。
*でも症候群の症状が悪化して結局死んだ。
祟殺し編の沙都子は恐らく拉致されて東京に送られ、症候群の実例として生きたまま頭蓋を開かれるなどしたと思われる。


梨花の持ってた注射は沙都子の持ち物だった。
*詩音に打とうとしたのもこれだろう。
罪滅し編で背中に襲いかかられたレナはこれを打たれたおかげで正気に返れたのかも。


梨花には時間遡行の能力があったらしい。
*羽入という神様的な存在が生まれつき見えていたらしい。


*今頃気付いたが、綿流し編で圭一両親に魅音の両親が積んだ金が日を追うごとに膨れ上がっていったのは、ヤクザ屋さんのやり方なんじゃなくて雛見沢流のやり方だったのか。



<まだちょっとよくわからないこと>



*富竹=リサってのは、富竹が入江に自己紹介する時「はじめまして。自分は富竹二佐であります」とか言ったせいかなと思ったんですが、…富竹の階級は二尉らしいので違う。


*悟史は結局どこ行った?


*なんで女王感染者が死ぬと皆死ぬのか? 古手の血筋が絶えたら終わりじゃないか?
 というか目明し編でも梨花は死んだのに、なぜ雛見沢では大災害が起きず、そして全住民発症も何も起こらず、平和なまま未来を迎えているのか?
 大災害を起こす必要なんて本当にあったのか? 全住民発症なんて、誰かに都合のいいだけの嘘話ではないのか?


*沙都子は一度L5に達したことがあるらしいのだが、それはいつだろう。
二年目の祟りの時に両親を突き落とした?
四年目の祟りの時に叔母を殴り殺した?
悟史を殺してしまった?


*東京の一部の意向を受け(?)女王感染者の梨花を殺しすべての感染者を末期患者にしようと目論んだのは鷹野だが、何も知らなかったまま決断を迫られた総理の認可を受け、2000人を密殺する「大災害」を指揮していたのもやはり鷹野だった。? ……???
 中隊長<鷹野、って事か?
 中隊長もあらかじめ事情を知っているのだろうけど、東京の息のかかった人?


*東京の意向とやらの理由と、鷹野の猟奇趣味の動機がわかんねえ。
 それぞれについて一応考えてはみた。


 正直私には2000人を殺戮して得をする理由ってのが、シミュレーションデータ取得とか、東京の息のかかった対ガス特殊部隊(装備中隊)の実績作りくらいしか思いつかない。
 東京の方針転換から兵器転用の道を閉ざされた雛見沢症候群をダシに使って、2000人を一両日中に殺さねばならん状況を作り、その大量虐殺を難なくこなせる対ガス部隊の作戦能力の方を売リ込んでるように見える。


 鷹野は狂信的な親御さん(高野一二三?)の影響を受けた結果、ああして私が祟り神になるとか言い出してるんだと思うけど、戦前の研究?に症状を抑えるために有効であるという高野式精神安定法ってのが出てくるので、雛見沢とは無関係とは思えない。
 「祖父は神になり損ねた」とかTIPS(*代子へ)に出てくる辺りから考えてみると、


 …鷹野三四の祖父は雛見沢症候群を最初に見つけた医者だった。まあ仮に名前を高野零一とする。(一二三、三四なので)
 …苦しむ住民達の症状を抑えるため、迷信に囚われない健全な精神を育む「高野式精神安定法」を考案し、住民達に教えた。
 …その結果住民達の症状が緩和されたので、高野零一は住民達からオヤシロ様的な扱いを受けた。神になりかけていた。
 …でも当時ももちろん御三家は健在だったため、支配者階級からしてみれば高野零一は邪魔だった。特に古手家の立場がなかった。(多分当時は祟り除けとしてうじ涌き病除けのお札を発行したりしてたと思う)
 …あと、迷信に囚われない健全な精神を持たれると往々にして同時に信仰も薄れがちなので、オヤシロ様の祟り(当時は祭の日の怪死ではなくうじ涌き病のこと)の恐怖によって村をうまくまとめ上げていた部分もある当時の御三家からしてみればいろいろと問題があった。
 …また、その精神安定法でどうにかできるのは発症の精神的要因のみであり、例えば村の外に出かけて急な発症をする事などに関してはどうにもならなかった。
 …御三家が煽ったこともあり、「瞑想法に効果はない」と、高野零一はやがて詐欺師扱いされるようになった。そして追い出されるように村を去り死んだ。
 …父の汚名を濯がんとし、息子の高野一二三は研究に生涯を捧げるか何かして、娘・*代子を残し自殺。自殺の原因は遺書の内容からすると症候群にやられたっぽい。
 …*代子は“東京”に接近。雛見沢に設けられた研究機関の目付け役として、鷹野と名前を変え、住民としてではないが雛見沢の内部に潜り込むことになる。……雛見沢・御三家・古手家への深い恨みと、祖父が昇りかけた「神になる道」をその胸中に抱いたまま。


 …とまあ、あれこれ妄想してみた。
 相変わらずの妄想推理なんですけどね。
 イっちゃってるような言動の多かった鷹野ですが、きっと理由は復讐なんじゃないだろうかねぇ。
 父や祖父が命がけで取り組んだ雛見沢症候群対策が、ぽっと出の入江に完成させられて(横取りされて)入江の名で功績を世に残されてしまうのが面白くないとか、祟りに対して役立たずでしかなかったオヤシロ様の後継・古手家に対する(祖父の)恨みとか、その辺が理由になってそうな気もする。



 ところで。全患者発症とか言う自体があり得るとしたら、もし大災害が起きなかったら、村中でひぐらしのなくこロワイヤルになってたわけだ。怖ぇ…。