バラバラ殺人のトリックとして考えてみた場合

うーん…。
初年度の祟りこと「現場監督殺人」って何かひっかかっていたんですが、
これ……“主犯格の男なんてその場にいなかった”って可能性もあるんですね。



そもそも「6人」が犯行に及んだとされている理由は、


・遺体が6分割されていた点
・捕まった5人の供述が6人目の存在に関する点で一致


なので、遺体を6分割する時点で5人が口裏を合わせれば、「存在しないもう一人」をでっち上げることも可能と言えます。
 ただしそれにはもちろん条件があって、

・「もう一人」は完全に姿を消していなければならない。
・及び、遺体の残り1パーツは絶対に発見されてはならない。

このような条件を満たしていなければならない。


 行方不明のその一人が他の五人から「主犯格で遺体の切断を命じさえした人物」とまるっきり罪を押し付けられている点とか、また、乱闘の経緯とか細かい部分になると5人の供述がてんでばらばらに食い違う理由や、あるいは、監督の遺体がリンチ及び遺体切断などでズタズタになっており誰が何発食らわせたかなど詳細には把握できない事…などから考えてゆくと、この可能性は十分に考えられます。



 「6人目なんていなかった場合」のシナリオを考えてゆくと…


…どういう理由か、5人はその日まで普通に生活していた「もう一人」が二度と姿を現さない事を知っていた。
…5人は現場監督を殺す。
…5人は「もう一人」に主犯としての罪を被せることにする。
…その場にいて殺害に関与したことを装わせるため、遺体を6分割し、口裏を合わせる。
…遺体の右腕部分をどこかに隠す。
…合わせた口裏通りに、「もう一人」の乗用車を沼のあたりに乗り捨てる。
…翌朝、怪我の治療に訪れた一人が病院で犯行を自供する。
…5人が捕まり、「5個所」の埋葬地点を自供する。
…「主犯はその場にいたもう一人だ」、と皆が口をそろえる。


 こんな感じでしょうか。


 物凄く簡単に考えると、これは“5人が現場監督と失踪した作業員の二人を殺してしまったので、二人が殺しあったように見せかけるため、現場監督の遺体を6つに解体。
 作業員の遺体と現場監督の右腕を同じ場所に生め、車などで状況証拠をでっちあげ、口裏を合わせて犠牲者の作業員を「主犯」に仕立て上げる”といったような筋書きなのですが……。


 これでは、現場に「主犯」役の血痕などが残ってしまいますし、また何も「6人目」の存在を偽装して罪をなすりつけなくとも、単に二人分の遺体を見つからない場所に隠してしまえばいいだけの話とも言えます。
 「遺体を6分割して犯人が6人いるように見せかけた」というトリックをここで用いるのであれば、応じた必要性が存在しなければなりません。
 この場合の必要性とは、すなわち、


・現場監督の殺害に自分達が関与していたという事実は絶対にバレてしまう、という確信が犯人達にはある。
・罪をなすりつけるもう一人が自分達の目の前に姿を現し証言を覆す事はない、という確信が犯人達にはある。


 こんな感じでしょうか。



 で。このシナリオおよび必要性に沿って、実際の状況がどうだったのかを考えてゆくと。



…作業員が1人消え、二度と戻ってこないような状況に陥る。(主犯格とされている男)
…作業員の消えた理由・責任は5人の作業員達にあったため、5人は焦燥する。このままでは自分達がやばいことになる、と。
…作業員が消えた事を知り得る誰か、5人の作業員達に入れ知恵する。現場監督を殺しその犯行を失踪者の仕業に見せかければ、警察は彼が殺人を犯したせいで逃げたと思う。と。
…作業員5人、他に人気のない作業事務所で酒盛りし、わざと現場監督に咎められる。
外で現場監督を襲い殺すが、その遺体には複数の人間による傷がついてしまった。
…このまま遺体を放置しても、警察は犯行に参加した複数の人間を探し始めるだろう。
…どうしよう、と「誰か」に指示を仰ぐ作業員達。
…遺体の6分割による6名の犯人の存在偽装を提案する「誰か」。主犯格および遺体切断の提案者もそいつにしてしまえ、という事になる。
…作業員達は遺体を6分割、右腕をどこかに隠し、失踪者の車を鬼ヶ淵近辺に放置。
…翌朝、一名が犯行を自供。



 こんな感じでしょうか。
(お前はひとつの記事の中で何回こんな感じでしょうかと書く気だ)


 ただ…この流れだと。
 裁判によって結局5人の作業員達は殺意を認められてしまっており、殺人犯としての扱いを受けています。
 現場監督の殺人を「入れ知恵」した人物が別にいるならば、彼らが「殺人犯」として刑に服さざるを得なくなった時点で、自分達によからぬ考えを入れ知恵した人物のことを吐露したっておかしくはありません。
 それが為されないのは……
 やはり、誰も入れ知恵なんてしてはいないか、
 あるいはその事を喋ったら殺人犯として刑に服す以上の(無残な)未来が待っていると解っているか、
 あるいは……本当に犯行時その場に6人目がいた、という事になるのでしょう。



 ただ、私としては6人目なんていなかったんじゃないのかな、と考えています。


 消えた作業員は何らかの理由により作業員5人のせいで鬼ヶ淵に沈んでしまい(あるいは沈んでしまったように5人の目には映り)、「作業員が鬼ヶ淵に沈んだ」理由を作るため、五人は手近な「失踪」の理由を作り出した――現場監督を殺した、のではないかな、と考えます。
 また、直接入れ知恵などせず、場を用意しそういう状況へと誘導していった他者の存在もまた、あり得るかと思います。


 これはまだかなり曖昧な考えなので、もう少し詰めて考えてみるか…。