羽入のスタンス考察例

む? スール?
沈黙を和訳すると“何勝手言ってんだてめえ”?
…残念。
まあもともと無茶な提案だしスールもやむなし。
せめて気合入れて新しい別のオリスクを作ろう。
――作る作ると言ってお前はッ!(ビシィ)夏以降全然仕上げられていねえじゃねえですかッ!(バシィ)


さて、オリスク話はさておき本日の考察。


<羽入のスタンスについて・妄想その一>


 梨花にのみ観測される存在であり、長い時間を経ていると語り、そして恐らくは梨花の時間軸にイレギュラーを発生させている最大の要因でもあるだろう“はにゅう”。
 この人のスタンスってのを考えてみたいと思う。


 羽入は長い時間を一人で過ごしてきたと語ります。
 その彼女をようやく視認し得る人物…梨花が現れたため、彼女の身は常に梨花のそばにあります。そう――神の一手を極めるために。(ちがう)
 長い時を経てようやく羽入をまともに認識する人間が現れたわけですが、しかし羽入はどうやら梨花に何も要求してはいない様子ですね。
 まあぶっちゃけ、このへんが藤原佐為とは明らかに違う部分なわけです。


 オヤシロ様の血を引く家の末裔とか、八代続けての長子の女性“オヤシロ様の生まれ変わり”とかいう肩書きを持っていて、しかもその梨花は永らく村の誰にもずっと見えなかったはずの羽入を認識する、という能力をも兼ね備えているわけです。
 しかし羽入は、何ら梨花にクエスト達成のような真似を要求してこないわけです。
 というか、ただ単純に、コミュニケーション可能な相手としての梨花をのみ求めているようにも見えるわけですね。


 ――でもまあ。
 仮に、羽入の言っていることを正とした場合。


・ほとんどの人間に確認できない存在が村に長い事存在し続けている
・長い空白の時を経て、その存在を確認できる人間が現れている
・高い確率で村がぶっ潰される危険が間近に迫っている


 昭和58年の雛見沢ってのは、こういう状況下にある、と表現する事もできるわけです。
 …要するに何が言いたいのかというと。
 『梨花が産まれた(羽入を認識できる能力をもって産まれた)てのは偶然ではないんじゃないのか』と思うわけです。


 はっきり言ってしまえば、羽入は梨花に惨劇の回避を特別望んでいるわけではなさそうです。
 彼女は梨花がすりきれるのをただ恐れるのみのようです。
 そして彼女はずいぶん昔、それこそ綿流しの儀式が原型を留めていたあたりから存在しているようにも語っています。
 拷問道具だらけの祭具殿を「昔の空気を残している」などと居心地のいい場所のように言っているあたりからも考えると、…それは確かに事実なのでしょう。


 ――とまあ、この辺に、以前書いた「オヤシロ様ループ経験者説」を絡めまして。
 いつもの妄想を展開しますと。



・羽入は大昔、症候群とともに村に現れた。
・村人は皆症候群に感染し、抵抗力の低い人や急性発症の条件を満たしてしまう人はばたばた死んでいった。
・症候群の猛威は鬼に例えられるほどのものであり、また羽入の外見もまた鬼に似ていた。
・当時の村人(感染者)の一人には、なぜか羽入が認識できていた。
・羽入はその人物とコミュニケーションをはかり、そのそばにいる事にした。
・症候群に侵された病人だらけ、おまけに急性発症による暴走者が出たりして当時の村はもう滅茶苦茶だった。
・互いに疑心暗鬼を深めたりして村中で殺しあうような展開になり、羽入を認識できる村人もとばっちりを食って何度も殺されたりした。
・その人物が殺されるたびに、羽入は時間を巻き戻してやった。
・やがてその人物は繰り返される惨劇に対して戦う覚悟を決め、羽入の協力を要請した。
・村に定住の意思があったのか、ともあれ羽入は承諾した。
・しかし当時は症候群をどうこうする医療技術もなかったため、結局、村が滅ぶような惨劇を防ぐためには“症候群の症状促進を抑えるためのルールを皆に守らせる”、くらいの対抗策しかなかった。
・その急性発症などが起きる法則については、何度も何度も死を重ねる中で把握していった。
・皆に守らせるべきルールは把握できたが、でも羽入を認識している人物というのは影響力も説得力も持ち得なかったため…村人に自分の見つけたルールを遵守させる、ということはできなかった。
・そこで、その人物は宗教を利用する…羽入を神格化し信仰対象とする、という手を思いついた。
・羽入に協力させ、大勢の人々の前で「オヤシロさま」の足音や気配を演出させた。
・結果、迷信深い村人達に、自分が調べた“急性発症を起こさない為のルール”を「オヤシロさまのお告げ」として皆に守らせる事に成功した。
・内心半信半疑ながらも、皆がそれを守ってみたら、重症者や暴走者の数が減った。(あたりまえ)
・村人達は羽入だけでなく、羽入を認識していた人物をも、ともどもに「オヤシロさま」と呼び讃えるようになった。(守り神の代弁者だから)
・でもオヤシロさまと呼ばれるべきはその人物ではなく、羽入の方だった。
・また症候群とともにやってきた羽入もオヤシロさまとは言えず、むしろ鬼と呼ぶに相応しかった。
・で。…この羽入を認識していた人物というのが、古手家の祖先となったものと思われる。
・惨劇が回避されたので、羽入が起こしていたループも止まった。
・やがて年をとり、古手の初代は死んでしまい、羽入を認識する人物がいなくなり、羽入は孤独になった。
・その後、長い年月を経て、古手家に羽入を認識できる梨花が現れた。
・昭和58年の惨劇というのは村を滅ぼすクラスのものなので、梨花は言わば決戦存在的に出現した。
・だが症候群を撲滅されると症候群とともにやってきた羽入はやがて消えるしかなく、しかしだからといって、村が滅び梨花が死ぬと羽入は再び孤独のうちに帰らねばならず、彼女は惨劇の回避と黙認、どっちも選ぶことができなかった。
・結局、羽入はそのどっちでもない“延々と繰り返されるループの中で梨花とともに在る”という選択肢を選ぶしかなかった。
・ゆえに、羽入は大昔に、惨劇を回避するために初代に協力して戦ったことなどを語らず、また梨花に対し惨劇の回避を望むような態度も見せなかった。
(治療の研究が進んでしまい、既に大昔のような、村で人と症候群との共存が行われる態勢ってのは失われつつあるため)


 そんな妄想をしてみた。


 まあ簡単に表現すると、
 オヤシロ様=羽入=古手の初代
 鬼=羽入=症候群
 じゃないか、って説ですね。


 オヤシロ様の生まれ変わりてのは羽入の代弁者って意味なんじゃねえのかと思う。
 八代女児が続く…て言い伝えとかは、羽入の代弁者(梨花以外)が存命していた昔に、既に羽入が未来を観測済みであった可能性とかを示唆してるのかも。