ひぐらしのトリック再考(ミステリ様式) その1

 うわー超ひさびさ。
 引越しを強いられるわ届いたモニタが壊れてるわ不動産屋に恫喝されるわで艱難辛苦の末どうにか戻ってこれました。このブログに。あと故郷に。
 でも引っ越してみて思ったけどやっぱり、二度とあんな警視庁24時の舞台になりそうなスラムなんて住みたくない。いやー、さすがは埼玉の公衆便所と呼ばれる西(以下略)


 更新しない間、少し考えてた事。


火曜サスペンス劇場ひぐらしのなく頃に 〜ミステリだった場合のトリック〜>


 まあ「ひぐらしのなく頃に」が純粋な意味でのミステリ作品だったら、ってのは以前の記事でもちょっと考察した事なんですけどね。
 今回は「トリック」について。


 一応最初に書いとくと、“「ひぐらしのなく頃に」がプレーヤーに推理というアクションを投げかける作品である以上、正解への道筋を納得できる形で提示できるミステリでなければならない”とは私は思ってません。
 答え見る時より推理してる時の方が楽しかったし。
 ぶっちゃけ、それがどんな作品であれ、プレーヤーに頭使わせた時点で勝ちだろうと思う。
 世に溢れる垂れ流しの娯楽漬けになって快楽に麻痺した(私の)脳味噌に、能動を励起させるだけの衝撃と魅力と程よい距離感を秘めていたってのはホントに凄いことだ、と(廃人の)私は思う。
 だからひぐらしはミステリではないし、そうである必要もないと思う。


 なので、以下はすべて仮定の話。妄想。
 ミステリの様式(テンプレ)にのっとった、「ひぐらしのなく頃に」の使用トリックについて考えてみたい。



*富竹殺害*


 この場合、(ミステリだと)死に至らしめるものは未知の薬品であってはいけない。
 むしろ、真相ではなくこちらの方をミスディレクションに用いたい。


“雛見沢には実際に割と危険な症候群が存在している、だが別に感染して今日明日死ぬものではない”
“また富竹はその予防注射をちゃんと受けていたのに、なぜか過度の発症を起こして死んでしまった”


 これらの情報を早めに提示してしまい、「あぁ…じゃあそれはきっと予防注射打った人が中身すりかえたんだ」と多くのプレーヤーに順当に推理させておいて、その予想を思っきし裏切るという手法を取った方が(比較的)ミステリとして体裁がいい。


 裏切るったって具体的にどうするのよというと、ミスディレクションとして用いられた要素や示唆が色々あるので、それらに最も符号点が多く、また最も(証拠類に対して)一貫性を見出すことのできる殺害方法を真相に持ってくる。
 一応、鬼隠し編から皆殺し編まで通して読んでみて、(もしこの話が推理小説だったら)富竹殺害の答えはこれとか面白くね? と思ったものが一ヶあるので書いてみる。


○背景


・犯人は、富竹の死体を提示する事で「まったく証拠の残らない麻薬系薬物(急性)中毒」の疑いを、ほんの微かでもいいから匂わせたかった。
・その非科学的な疑いに基づいて、ほんの少しでも(ごく普通の)麻薬の使用者の存在を疑われてしまうと非常にまずいという背景が、村のごく一部に存在した。
・村は非故意な麻薬の中毒者を少数排出しており、その事実を隠していた。


○殺害方法


・富竹をはめ、人知れずボコられるような状況を作る。
・そこへ車で助けにきてトランクに隠して車を走らせる。
・トランクの中には少量の排気ガスを溜めておき、軽度の一酸化炭素中毒で朦朧とさせる。
(たとえ息苦しくても、自分が追われていると思っているため富竹はじっとしてるしかない)
・ある程度トランクの中の空気を吸わせたところで車を止め、富竹に興奮時分泌される物質を注射する。首に。
・対象の朦朧状態を維持しつつ、特殊な拷問具で拘束し、分泌物質によって痛みを感じない手で、痛みを感じない喉を強制的にかきむしらせる。多分痛みで暴れ出すより死ぬ方が先。
・血や嘔吐物を保管しておく。
・あまり暴れないまま、朦朧としつつも体は興奮、重傷を負いながらも痛みを感じていないという状態の富竹が失血死。
・全身殴打の体はともかく、喉を掻き毟らせた指にはっきりと残る拘束具の跡を誤魔化すため、死体に角材を握らせて傷をつける。
・遺体を運び、富竹の靴を履いて適当に角材振り回して暴れ、血や嘔吐物をばらまく。
・現場を去る。
・翌日死体が発見されるが、ボコッた連中は自分達の関連を疑われるのを怖れ口を閉ざす。


…なんか山村美紗っぽい臭いが。


 殺害に使用された拷問具は、事件当夜侵入者のあった古手祭具殿から拝借したもの、とかだとスムーズなんですがここの拷問具は錆び付いてるらしいので、昔の資料から形状を模索して自作したとか、あるいは一部を自作し祭具殿から持ち出したモノに取り付けて使用した、なんてあたりにしてみたい。
 といっても、喉を強制的にかきむしらせるという都合のいい拷問具が果たしてあんのかよという問題なわけですが、これについては磔の十字架みたいなものを考えてみました。
 人間大の大きさで、十字架の横棒が人間の手の骨格みたいな長さ・形をしていて、肘関節部分のジョイントも付いているというモノ。
 犠牲者の肘は折り曲げた状態で、中程で折り返された十字架の横棒に挟まれて固定され、手首は肩に固定され、指は一本ごとに鉄製の支柱を副えられ、首に突き立てた状態で固定。
 んで十字架の後ろとかについているネジだかハンドルだかを回すと、こう…十字架が磔にされた人物を抱き締めるように「閉じ」て、その結果首に突きたてられた指が圧迫に屈して逃げ場を求め、自然と首を抉り、さらに抉り……と繰り返され、死に至るというもの。
 指にもみっちり皮と肉が(以下略)
 まあ…この拷問具に関しちゃ別にモデルが実在するとかじゃなくて100パー私のオリジナル、っつーかただの妄想なんですが。


 とりあえず今日は富竹殺害に関して、いかにもミステリ的な背景やら殺人理由やらギミックやらを用意してみた。
 つづく。