もうこのブログを書くことは無いだろうと思っていたのですが。
もう「うみねこ」をプレイする事は無いだろうと思っていたのですが。
…巨大地震が群発し、実家が停電で大変なこの日。
とうとう「うみねこ」のEP8をクリアしちまったので。
そしてやはり、どうしても文章を書きたくなっちまったので。
書く。書いてしまう。



まあ、私の感想はどうでもいい。
本当に書きたかったのは、推理したかったのはこれについてだ。
未来から見た、すでに確定した、猫箱の中身。



*** 「数十年後」へと続く「1998年の世界」、その真相は?  ***



1998年、縁寿は作家になる為に右代宮グループを人に任せて旅立つ。
数十年後、縁寿は実は生存していた戦人と邂逅を果たす。
さて。このハッピーエンド(魔法エンド)の世界ってえのは、定義するならば、
“絵羽が生存して右代宮の後継者となり、身寄りをなくした縁寿を養子として引き取り、そして戦人もこっそりと生き延びていた世界”って事になる。



“絵羽一人が生き延びた”という結末に比べると。
“絵羽が生き延びて右代宮家を継ぎ、縁寿を養子に迎える。しかし、実は生き延びていた戦人は後に記憶を取り戻すものの、名乗り出ず、縁寿の前に現れるのも数十年後となる”
という結末は、非常に奇妙な点が満載なんですね。



まず、この“数十年後”に至る為に達成しなければならない条件について、この後日談に登場する人物の言葉などからまとめると。


・絵羽は誰に害されることもなく、九羽鳥庵の方にて爆発を回避、生存。
・爆発前に、戦人“たち”は潜水艦基地の方に向かって逃亡。
・戦人はボートにて島脱出後、記憶障害を起こす。
・八城幾子が拾った戦人を警察に届け出たりしない。
・真理亞の署名入りボトルメールがいろいろ世間に出回る。
・絵羽は島で起きたことを一切語らず、縁寿にも何も言わずに十二年後死ぬ。
・縁寿がいずれかのボトルメールの作者を八城十八と見抜くも、面会拒否。
・記憶を取り戻した後も、戦人は関係者に名乗り出たりしない。
・数十年後にようやく妹の前に姿を現し、名乗り出る。


一応時系列順と思われる順番に並べてみました。
とはいえ、これらの出来事が全部成立するにはかなりの幸運とか善意とか魔法とか必要なんじゃねえかなあと思う。
なので、これらの条件を自然に満たすような物語こそが、真相なのではないかと思うわけですよ。
以降は私の、いつもの妄想推理でございます。
お楽しみください。あぁひさびさだこういうの。



・留弗夫or霧江、絵羽の二人を必ず含む集団、碑文の謎を解き黄金を発見。(まあめんどくさいのでここではとりあえず、四兄弟とその連れ合いの合計七名とする)
 ヤスから黄金を譲られ、爆破装置についてのレクチャーも受ける。
 (タイミングとしてはいつでもいいが、第一の晩が起きる前の方が望ましい)
 ヤス、すぐにその場を立ち去る。

・仲間割れ発生。その際に前述の二人を除く誰かが死亡し、うまく隠蔽できない死体が発生する。
 爆破装置を使用する必要が生じ、同時に島内の他人を皆殺しにする必要も生じる。
 (別にほっといてもみんな爆発で死ぬだろうが、確実性を欠くし、それに万が一死体を見つけられたり島外に連絡されても困るので。また、この場合はヤスを口封じする必要もあるし、ヤスが誰に喋ったかもわからないので)
 いずれかの陣営が残るまでその場で殺し合う。(ここでは上記の七名が銃を持って殺しあったものとする)

・仲間割れに勝利したのは留弗夫もしくは霧江、あるいはその両方。
 絵羽は死亡したと思い込まれ、気絶のまま生存。
 留弗夫霧江による、島内の全生存者に対する殺戮の開始。
 平行して、戦人は留弗夫から説得を受ける。
 戦人反発する。母さんならそんな事言わない、霧江の言いなりに殺人鬼と化すのか親父ぃとか言う。
 留弗夫、戦人は霧江の実の息子である事を告白する。
 その驚愕につけこむか脅すか他に手段がないと説得するかして、最終的に留弗夫霧絵ペアは戦人を仲間に加える。
 やむなく言いなりになる戦人。
 一方その頃、気絶から目覚め、夫の死に悲嘆に暮れつつも譲二を守るべく銃を手に地上へ向かう絵羽。

・死んだと思われている絵羽と行方不明のヤスをのぞく全員の殺戮が完了する。
 最後に、浜辺を一人でふらふら歩いているヤス(沙音の格好)をやっと見つける三人。
 ヤスももちろん殺す必要があり、霧江は共犯の証として戦人にも手を汚させようと考え、撃ちなさいと命じる。
 留弗夫も撃てと言う。
 すでに生きる目的を喪失し、ただ撃たれるのを待つヤス。
 躊躇する戦人。
 最悪のタイミングで、六年前にこの場所で沙音とした約束を思い出す。
 戦人はヤスを撃てず、逆に霧江と留弗夫を撃ち殺してしまう。
 留弗夫たちに復讐するべく探し回っていた絵羽、浜辺でようやく仇の姿を見つけるも、戦人が霧江と留弗夫を撃ち殺す場面を目撃してしまう。 
 親を殺した事に呆然とする戦人、こちらを見ている絵羽(銃所持)の姿に気づく。

 そこで、ヤスが覚醒する。
 遅くはなったが戦人は約束通り自分を助けに、迎えに来てくれた。
 さらに言えば、譲二と朱志香と戦人からそれぞれ別人格に対し求愛され苦しんでいたヤスは、ようやく答えを得る。 ヤスは銃を持った絵羽から戦人を守るべく、呆然自失の戦人を連れて地下通路へと逃亡。
 状況を理解しないままとりあえず逃げる二人を追う絵羽。(害意はもはやない)

 もうすぐ爆発の刻限。
 二人を追って黄金の部屋を通り過ぎる際、絵羽は爆破装置の時計で爆破が近い事を知る。。
 礼拝堂裏の地下入り口は黄金の部屋に続いているが、その先の通路は実は二つに別れている。
 「九羽鳥庵へと続いている」と言いつつ潜水艦基地の方へとヤスが道を示し、そちらへ逃げる二人。
 一方、その分岐を見落とし、九羽鳥庵へと続く“一本道”をひた走る絵羽。
 大爆発。
 絵羽、九羽鳥庵にて二人がいない事を確認し、二人はどこかに隠れて自分をやり過ごそうとしたが爆発に巻き込まれた、と考える。
 絵羽、救助を待って生還し、やがて右代宮家を継ぐ。

 潜水艦基地へと逃げた二人はボートに乗って島から逃げる。
 だがその途中、親を殺した事に打ちひしがれる戦人が「逃げてどうする」と絶望し、海に飛び込む。
 ヤスにとって戦人はこの自分を島から救いに来てくれた王子様なので、追いかけて飛び込む。
 なんとか助け上げるが戦人は既に溺れていた。

 漂流したか何かでどこぞの田舎に辿り着いたヤスは、カネに物を言わせて八城幾子としての家と生活を手に入れる。
 戦人を口の堅い医者に見せるが、既にある症状を起こしていた。
 厳密には、直前に聞かされた自分が右代宮戦人ではない(ていうか霧江の子だった)という衝撃の事実と、忘れたい親殺しの記憶が混ぜこぜになり、もはや自分の記憶が自分の記憶として捉えられなくなっていた。 
 記憶のない八城十八としての生活を始める。
 ヤスは戦人を刺激しないよう勤めつつ、戦人とミステリー談義を交わしたり自分の作品を読ませたりと、己の理想に近い生活を送る。

 一族爆死というセンセーショナルなミステリーの誕生に、ウィッチハンターが大量発生。
 ヤスはせっせとボトルメール偽書を作成し、真相に辿りつこうとする者を煙に巻くことにつとめる。
 (戦人犯人説とかが十八の耳に入って、また自殺でもされたら困る為)
 十二年後。公式には何も語らないまま、絵羽が死ぬ。
 右代宮のすべてを相続した縁寿が、真実を探す旅に出る。
 その過程で、ボトルメール偽書の作者が八城十八である事に気づき、“八城十八に会いたい”と編集者に言う。

 絵羽の死後すぐに自分を見つけ出し、自分のもとを訪れようとする縁寿。
 それはつまり、死を目前にした絵羽が六軒島の真実を縁寿に告げたという事を意味する。
 すべて、縁寿の家族を奪ったのは戦人。絵羽もそれを目撃している。
 戦人はそう考えた。
 そして、自責の念に駆られた戦人は自殺しようとする。
 幸い命は助かったものの、戦人は障害を負って車椅子生活を送る事になる。
 

 ヤスは戦人が、親殺しの記憶から、妹への自責の念から、自身の記憶と正面から向き合えばどうしても死を選ばざるを得ないと理解する。
 ヤスは八方手を尽くして絵羽の日記を手に入れ、あるいはそれらしく見える日記を用意し、メディアの前で公開すると発表する。 
 そして、公開直前で撤回する。
 こうする事で戦人に自身の罪はもはや暴かれる心配がないと安心させ、同時に、今後、絵羽の日記の偽書(あるいは本物)が自分以外の手元から現れてメディアを騒がす可能性を消した。(信憑性をなくさせた)
 ウィッチハントも徐々に収束してゆく。

 数十年後。
 縁寿が「さくたろう、魔女の島へ行く」を出す。
 その本の内容は、児童文学らしく希望に満ち溢れたものである。当然、魔女の島も、夢と希望に溢れた魔法を用いる魔女の寄宿舎が登場するような場所として描かれている。
 戦人はいまの縁寿が、少なくとも、六軒島を陰謀に満ち溢れ惨劇に彩られた場として捉えているわけではない事を作品から読み取る。
 今なら会ってみてもよいのではないか。責められることはないのではないか。縁寿も父母や兄や六軒島の事を優しい思い出としてのみ捉え、戦人も自身の責とうまく向き合え、一番いい形で再会できるのではないか。
 そう考えたので、縁寿との会合を編集者に打診する。





んーまあ、こういうのが、1998年そして数十年後へと続く“絵羽生存ルート”の裏にあった、真相なんじゃないかなと思いました。
手品エンドだと二人の邂逅については一切語られないしね。
こうなんじゃないかと思う。