・祟殺し編について抱いた新たな推理


 目明し編を終えてからプレイし直してみたのだが、

「祭りの前日、叔父殺害を決意した圭一が沙都子を家から離れさせるため誘い出させようと夜、魅音に電話するシーン」

 この電話を受けているのは魅音ではない。詩音である。
 反応から言っても、目明し編の内容から言っても、これはほぼ確定と思われる。
 用件のみならず、圭一は悟史の電話を殆どなぞるような内容で喋っていた。
 その事を告げられ、圭一は「叔母を殺したのは悟史じゃないか」などと言い出す。

 自分と同じ行動を取った人物に、殺人の容疑をかける。
 これはもう、自分が誰かをこれから殺そうとしていますよ、と告白しているようなもんである。
 ましてや昨年何が起きたかを知っている人物にしてみれば、圭一がこれから誰を殺そうとしているかなんて手に取るように解るだろう。
 殺人に至る理由は興宮暮らしの詩音にはまだわかりにくいかもしれないが、悟史と同じ電話をかけてきて、「沙都子、大変な事になったね」「あれが大変なんてもんか」みたいな会話をしている以上、圭一が誰のために誰を殺そうとしているかはすぐさま理解できてしまうだろう。まあそもそも、叔父の帰還も、続く虐待も詩音が聞き及んでいる可能性は高い。


 で。
 詩音が目明し編と同じ結論に至り、同じ行動を取るのなら。
 詩音は悟史が消えた原因を探るため、悟史を消した連中の尻尾を掴むため、「魅音と入れ替わることで宝具殿侵入をネタに御三家に探りを入れる」のではなく、「悟史と同じ行動を取る(←この部分が目明し編と違う)圭一を監視し始める」はずだと目される。
 目明し編よりも高確率で消えそうに見える圭一が、どうなるのかを見届けるために。



 電話を受けた後の、詩音の行動は以下と推測される。



1.まず、昨年の轍を踏まないよう、妹(姉か)の魅音に命じて圭一のアリバイ工作を可能な限り広範囲に行わせる。村内にはダム闘争で培ったノウハウがあるから、そうそうボロも出ないくらいのアリバイができあがってしまう。(部活メンバーはもちろん、岡村富田をはじめとするクラスメートの翌日の態度は、全てアリバイ工作のための既成事実作りと思われる)
(学校で「祭り当日どこで合流したっけ?」と圭一に聞かれたレナは別の話をするなどしてごまかそうとするが、結局問い詰められて口ごもり、魅音がフォローに入ったりなどしている)

*補記:その過程で、圭一に殺人など犯させたくないと考え止めようとする人間がどこかで出るかも知れないが、沙都子の惨状を目の当たりにしているクラスメートには止めることは難しいだろう。アリバイ工作に協力するのが精々と思われる。



2.圭一の計画に障らないよう、圭一の電話通り魅音に沙都子を祭りに誘わせる。(電話で「もう誘った」というのは詩音の嘘)


3.翌日、詩音は圭一の行動を見張る。(穴掘り→バット回収・電話→襲撃現場へ)
  圭一の足音がひとつ多くなる。


4.夕方頃、沙都子が誘われて祭りに出かける。(北条家に張り付いていた警察に確認されている)


5.誘い出された叔父がバイクで道を通る。圭一奇襲。叔父、徒歩で林内へ逃走。
 (やはり祟りの到来を予期していたか、謝罪の言葉を口にしながら逃げている)
 しかし祟りの標的と目される北条家には警察のマークがついており、作中では出てこないものの、祭りの日に一人ふらっとバイクで外出する祟り候補の鉄平を監視中の警察が見逃したとは思えない。恐らく北条家同様、外出する鉄平にもあらかじめ尾行がついており、そして圭一の襲撃は目撃されたものと思われる。
 祭りから帰る沙都子、圭一の叔父襲撃を目撃してしまう。
 この時期に大石が沙都子を訪ねたりしていたのは、恐らく祟り候補の可能性を懸念してのことと思われる。沙都子の眼には圭一の叔父襲撃が「祟り」に、そして、圭一が今年の祟りの執行役として映ってしまう。


6.自分にも及ぶであろう祟りをはっきりと眼にしてしまった沙都子(しかも犯行者は圭一)、取り乱す。結果、鉄平についていた尾行者の圭一・鉄平追跡を妨害する結果となる。
 警察の尾行者、署に「北条鉄平がこういう人物に襲われた」と通報。
 (大石が沙都子を訪ねたりしていたのは祟り候補の可能性を懸念していたためと思われる。とするとかなり前から北条家を監視していた可能性もあり、そうなると家の近くをうろつき監督とごちゃごちゃやったりしていた圭一は既に警察監視班に身元確認済みの可能性もある)
 詩音、二人を追跡。


7.沙都子帰宅。(警察に確認されている)
 圭一、鉄平殺害。バイクとバットを沼に処分。シャベルを家から持参。殺害現場へ戻り、
 遺体を埋める。詩音、遺体を埋めた場所を確認、見届ける。
 富竹の死体発見される。現場にいる大石の元へ、高杉課長より無線連絡。
 内容は恐らく圭一の鉄平襲撃。(TIPS:五年目の祟り)

8.圭一帰宅。途中でなぜか富竹の自転車を後部座席に乗せる鷹野と遭遇。
 (しかしこの時間既に鷹野と断定された焼死体は岐阜県の山中で発見されているらしい)
 一方、詩音は遺体を掘り返し、別の場所へ埋める。(圭一にはあくまで「祟り」で消えてもらわねばならない。警察が介入し圭一が捕まり、圭一が消える可能性が下がるのを防ぐため)



 とりあえず、詩音の取りそうな行動はこんな感じか、と思われる。


 この流れに従って以後の展開を整理してゆくと。


 翌日、圭一起床。
 恐らくこの時点で警察には鉄平襲撃者の身元が割れていて、鉄平が帰宅しないという事実もまた知られていると思われる。圭一には既に尾行がついている。
 やっぱり圭一の足音がひとつ多くなる。
 学校へ行くと、アリバイ工作の既成事実で皆が出迎える。
 訳がわからずその歓迎を受け入れられない圭一は、思わず沙都子に「叔父は昨夜帰ってこなかっただろう」と訊ねてしまう。
 祟りの執行者・圭一に怯える沙都子、嘘で返答(圭一に対する行動誘発剤として、事前にそう警察に言い含められた可能性もある)。叔父の話題になり取り乱した風を装い、教室から去る。
 圭一、何だか態度のおかしいレナ・魅音に問い詰められ、「叔父がいる事にしろ」と暗に迫られる。(既に警察にマークされていることを知っているのかも知れない)
 二人に挟まれて下校、圭一は帰宅後ダム現場に連れ出されそうになる。(殺害現場近辺をうろつく・死体を確認するなどの圭一の軽挙妄動を抑制するためか)
 圭一、様子のおかしい二人を拒絶。病院へ行くと告げる。レナ了承。「必ず行け」と念を押される。
 記憶の揺らぐ圭一、学校へ行き悟史のロッカーにバットがないことを確認。
 その間にレナと魅音は入江に話を通し、圭一を穏便に足止めするよう依頼。(警察の尾行を考慮しての事かも知れない)
 五時前、圭一病院来訪。入江に事情を話す。
 六時頃、入江、紅茶を持ってくると言い中座。大石から電話がかかってくる。
 (「あ…ちゃー、まずいですね」と言っていたのは、もしかしたら電話の内容が当の圭一に関する事であり、それを入江もまた察知していたからかもしれない。)
 睡眠薬を飲まされそうになった事を運よく察知した圭一、窓より逃亡。(警察に見られていた可能性有)
 圭一が窓から逃げ出した事により、警察は入江が圭一に対し何らかの行為に及んだものと判断、圭一の尾行を続けさせる傍ら大石あたりが入江を問い詰める。 
 圭一、自宅でスコップを再入手、死体を確認すべく埋葬現場へ。
 襲撃現場でランタン回収。興宮と雛見沢の中間点(…富竹の発見現場と近いかも)へと向かい穴を掘り始める。ここにいたり警察、ようやく死体の埋葬現場を突き止める。
 圭一、ランタンをつけた瞬間大石達に包囲される。大石たちは既に水をかい出すためのバケツとか、シャベルを用意している。(埋めた、という死体処理法を予測済みだったか、それとも圭一が穴掘りを始めたのを確認してから用意したか)
 穴の底にあるだろう死体という証拠を突きつけ、逮捕するつもりだったのだろうが――死体は既に移動済み、出てこない。
 大石、圭一は執行者ながら何も知らされていないと判断、しばらく泳がせることにする。
 (圭一は蜥蜴の尻尾と判断され、尾行も解除か)




 ――直後、20:08のナンバー照会要請を最後に大石・熊谷が連絡を絶つ。
 翌朝、入江が朝当番の医師により、所長室のソファーで空になった睡眠薬の瓶と水差しと共に発見され、救命処置も空しく死亡。
 やがて神社境内で発見される、腹を裂かれた梨花の死体。
 そして――22日未明の雛見沢大災害。




 ああ…うまくまとまらない。
 この辺、きっと入江と警察の間に摩擦が生じた結果色々起きて、それで多分取り返しのつかんことになってるとは思うんですが。
 とりあえず、今日はここまで。