さて。今日は、本編では語られない圭一気絶中の祟殺し編6月21日(大災害前日)に何があったかについて少し新たに思いついた展開がある為、それを書いてみることにします。



 …とりあえずこの日に関して、とっちらかって整合性のない過去の推理を纏めてみると、


・「誤解だ」と言いながらナタ持って全裸の沙都子を追いかける圭一が「祟りの執行者」として沙都子に突き落とされた直後、圭一が襲われるのを監視するべく尾行していた詩音、沙都子を「祟り執行者」とみなし襲撃。
・古手神社にて発見された梨花の死体の捜査を通じ、警察が祭具殿を改めることに。
・祭具殿に警察侵入。住民激怒。
・警察、収穫なし。祭具殿への侵入者に対し、お輌「憂慮」。


 まあ大体こんな感じでしょうか。
 前回書いた推理では、この後で、山道を戻ってきて野次馬と警察の溢れる境内を窺う詩音が被監禁者の可能性に気付き、祭具殿へ侵入、そして――みたいな感じに続くのですが、まあこの辺は推理というか物語的な展開を希望した結果の二次創作に過ぎませんね。
 侵入した警察が拷問器具に興味を示すかな、とも思ったのですが、ここの器具は保存状態があまり良くない上にゆっくり見て回れる状況でもなさそうだという事で、これもパス。



 さて、「開腹され内蔵を引きずり出される」という祟殺し編における梨花の死なのですが。
 間抜けなことに、これがどういう意味を持つ出来事なのか――について、今までまるで失念していました。
 その辺りを考えつつ、梨花の死体が境内で発見された後の村内の動きを推測してみたいと思います。




 梨花、22日朝、古手神社境内で開腹された遺体となって発見される。
 発見及び通報者は神社を訪れた村民の老人達とする。(暇潰し編の情報より)
 ↓
 警察が来て捜査を開始する。時間的には入江の自殺騒ぎの少し後くらいか。
 ↓
 村の情報網を、梨花の死とその状況に関する情報が駆け巡る。
 ↓
 ここまで、犠牲者の人数が例年になく多いことから疑問は生じるかもしれない。
 しかし、時期が時期、加えて不審死ともなれば、誰が手を下したかはわからなくても誰の意向かは皆にはわかってしまう。
 何しろ、梨花はまるきり綿流しを連想させる死に方、神社の境内で腹を裂かれ殺されている。これは一種の見せしめとも取れるもの。
 ↓
 不審死した人々が何をやったかはわからなくとも、とにかく上の方の意に沿わぬ存在だったのだろう、で流され、普段だったら片付くところ。
 ただ、余所者の富竹や一般人の鷹野はともかく、梨花までが“内部懲罰で”犠牲になるというのは、この村内においてかなりの問題を引き起こす。
 ↓
 梨花は御三家の一、古手家の唯一の生き残りでもある。
 加えて、オヤシロ様の生まれ変わりとして村内の信仰対象とさえなっている人物。
 信仰心の強い老人層を中心に、家柄に留まらない支持を示す人間も多かった。
 ↓
 老人達は梨花の死にショックを受けながら、これがどういった懲罰かという事を話し合う。恐らく座の中心は梨花の保護者もつとめ御三家の筆頭でもある公由村長。
 (園崎は場に加えられないと思われる。事情は後述)
 ↓
 だが無理矢理考えても梨花の落ち度はせいぜい、祭具殿のカギをつけかえた程度。
 最終的にあのように処断されるには値しない、という結論に達する。
 ↓
 じゃあやったのは誰か、という話になるが、昨年までの「祟り」による犠牲者輩出の実績と、その下手人を座中の誰も知らない事と、そして「祟り」の報を耳にした園崎お輌がかならず笑っていたという話の伝聞から、犯人はわからないまでも執行の指示を下したのは園崎お輌に違いない、という結論に至る。
 ↓
 園崎絡みでトラブルを起こし惨殺死体となって発見された間宮律子に関する恐怖エピソードも雛見沢の老人達の耳には届いていると思われるし、その死体の状況と梨花の死体との類似点に、推測は断定へと変わってゆく。
 ↓
 ではなぜそんなことをしたのか、という話になる。
 しかし誰にもわからない。思いつかない。
 普段なら誰も口にはしない事ではあったが、専横と受け取られても仕方ない園崎お輌の常日頃からの態度および絶対的な支配力から、お輌の暴走の可能性が懸念される。
 お輌が梨花を甘やかしていると呼べるくらいに可愛がっていた事を知っているだけに、そして梨花の処断を行ったのがお輌としか思えないだけに、畏怖を込めお輌への隔意を深める老人達。暴走の可能性もまた補強されてゆく。
 ↓
 信仰に関わる問題でもあるし、また感情的な議論になる事も予想されるが、
 とりあえず公由村長あたりのとりなしにより、一度直接問いただすべき、という結論あたりで落ち着く。
 歳も近く立場も近い、村内で唯一意見できる人間とも言える公由が代表となり園崎家へと赴く。
 ↓
 来訪した公由より、梨花の死の説明を求められるお輌。しかし彼女は指示を出していなかった。
 そもそもここ数年来の祟り自体、指示を下した事さえなかった。
 「憂慮」し、「意味深に笑って」みせただけ。誰がやったのか長いこと調べもしたが、
 結局、自分の知り得る限り、村内の誰も誰も手を下してはいなかった。(目明し編魅音の死亡前告白を信じるものとする)
 ↓
 しかし、既に積み重ねられてしまったここ数年に渡る過去という重みと、立場と、性格上の問題から、お輌は「自分じゃない、実は自分も知らない」と素直には言い出せない。
 せいぜいまた、意味深な事を言って煙に巻く程度だろうか。
 「真面目に訊いてる」と詰め寄られたら「やかましい決定に異を唱えるのか」と一喝してしまうだろう。
 ↓
 公由、むなしく帰還。老人達にありのままを伝える。老人達憤慨。
 ↓
 ダム闘争以来の園崎の一枚岩に亀裂が生じ、村内に深刻な対立が発生する。




 以上。
 とりあえず、ここまでの流れはあってもおかしくないと思う。
 村内会議で園崎と公由を交えつつ事態の究明を目指すなどの展開も考えたのですが、梨花がああいう殺され方をしている時点で既に、そうのんびりした話でもなくなってしまっているのかもしれないな、と思ったためこういう形に。
 梨花を殺されて怒り狂う老人が多いのではなく、むしろ見当違いの方向へ飛んでいった(年々飛んでいく)祟りへの懸念を示す老人が多そうです。犠牲者が梨花、となれば問題提起には十分過ぎるでしょう。また純粋に感情論や信仰上の不安などから、平時には考えられないような危険な行動が誘発される可能性も噴出します。(園崎への対立行動とかね)



 …つまり、梨花を殺した犯人の意図は、村内に対立の構図を植えつけることにあるんじゃないかと。そう思うわけです。
 無論それだけでは理由としては弱いから、そこから引き出される大きな「結果」をも求めているとは思うんですが。
 でも、その“大きな結果”ってのが大災害かどうかは……わからないですね。




 この先の展開を一応、考えてみましたが…以下は、かなり適当な推理です。
 
 

 御三家の一つさえあっさりと潰された今、お輌を除かねば大変な事になる、と決意する老人達。御三家の一員である公由もまた例外ではない。
 ↓
 公由喜一郎、煩悶の末、「ターゲット」に園崎お輌を選ぶ事を決断。
 御三家当主として、皆に“綿流し”の開催を告げる。
 綿流し祭からほんの数日を経、再び、真の「綿流し」が始まろうとしていた…。
 ↓
 警察が姿を消した21日深夜。
 老人達が手に手に凶器を携え、村中の家から溢れ出す。
 ↓
 鬼隠せ、綿流せ。
 村人の格好をした鬼達の大群は園崎家へと押しかける。
 途中異変に気付き駆けつけてきた駐在を発砲されつつも一蹴、鬼隠す。
 ↓
 鬼と化した村人達、園崎邸へ侵入。
 お輌を綿流そうと迫る。
 己の最後を悟ったお輌、鬼ヶ淵沼の隠し水路を開く。
 ↓
 大災害。
 



あーハイハイ、これだと凶器持った村人の死体が屋外で見つかっちゃうだとかあるいはお輌の他殺死体が見つかるだとかいろいろ矛盾がありますね。わかってます。わかってますとも。

 うーん、まだまだヌルいか。