<山狗死体発掘説>
皆殺し編までネタバレ、注意)


 これまで、罪滅し編にて魅音が遺体を邸内へ独自処分していたり、また祟殺し編祭翌日に見られるクラスメート達の態度の不審さから、「鉄平の死体を掘り起こしたのは園崎関係者」だろうと思っていたのですが…
 “これは山狗じゃないか”というコメントを頂いたり、またア二メで一連の当該シーンを見直したりして、こういう考え方もあるなあと思いました。




 まず、既成事実を作ってアリバイ工作をしているとも取れる態度を示すクラスメート達ですが。
 仮に、彼らが明確な意図を持ってそのような行動に出ていたとしても、何も、「そのうちの誰かが圭一が鉄平を殺し埋めたことを完全に把握している」必要はないんですね。
 「どうやら殺してしまったらしい」という状況証拠を把握しただけでも、圭一のアリバイをでっちあげるには十分な理由があると言えます。
 その状況証拠に関してより具体的に言えば…祭翌日の北条家での鉄平の不在を確認した・祭当日の圭一の行動を誰も知らなかった・近頃の様子から言っても圭一は殺る気満々だった、などなど。
 ぶっちゃけ、圭一が凶器持って鉄平に襲いかかるところ“だけ”が魅音あたりに近しい誰かに目撃されていれば、たとえその後、死体も死体埋めた場所も確認できなくても、クラスを巻き込んでのアリバイ工作が始まる可能性は大と言えるでしょう。
(このアリバイ工作というのはダム戦争時にも村ぐるみでやっていた事なので、たとえ子供達と言えど順応性は高いと思われる)




 さて。鬼隠し編では圭一、罪滅し編ではレナに、一定期間張り付いてるようにも見受け取れる山狗達。
 仮にそうだったとして、対象の人選はどのような基準に従って定められたものか?を憶測するならば、…まあ鷹野の行動目的と個人的な趣味の合致するあたりから判断して、“それが症候群の症状であれ何であれ、暴走してある程度の「祟り」を引き起こしてくれそうな人”ってあたりになるのではないかと思われます。
 …勝手に暴走してくれれば警察に対するいいデコイにもなるし。(こっちが目的)
 …また、これから大災害で滅びる事になる村の最期の日々に奇妙なエッセンスを加えられるし。(こっちが趣味)


 と、そう考えてゆくと、綿流し編目明し編では何らアクションを取らないものの、山狗は詩音に張り付き、彼女の行動を監視していた可能性もある…と見る事もできますね。
 で。それじゃあ祟殺し編において、その監視の対象になるだろう人物は一体誰だっただろうかと推測してゆくと…
 これが、祭前の時期から既に鷹野にも不審な様子を見せていた(古手神社にて)圭一であった…という可能性もあるわけです。


 んで。以降は、山狗が圭一を監視しており、鉄平の襲撃から殺害、死体隠蔽まで見届けたとした場合、仮定の話なんですが。
 山狗が鉄平の死体を掘り出す理由はまるでない…ようにも一見思えるのですが、恐らくそうではないんでしょうね。
 警察のうろうろしてる祭の日に、今年の祟りの被害者候補としてマークされてる人を、ほとんどぶっつけ本番で襲撃し殺害。しかもその場で仕留められず、二人で大声上げながら散々走りまくって、殺した場所に穴を埋め、死体隠蔽。
 見つけてくれといってるようなものだ、と傍から見てる人がいたらきっと思うことでしょう。
 ですが、それで圭一がスピード逮捕されたところで別に鷹野サイドはさほど困るようにも思えません。…本来ならば。 
 山狗達からしてみれば、圭一の(計画ではなく実際の)鉄平殺害/遺棄現場が…かなり重大な問題となってきます。


 それは村はずれの道のそば。すぐ近くに数時間後、鷹野が富竹を捨てる予定です。
 圭一がその近くでゴチャゴチャやってて鷹野と出くわすのもまずいですし、わかりやすい犯人の圭一がその近くで警察の眼に引っかかったり、いかにも死体埋めてきました的なファッション(?)を見咎められて職質されて白状したりとか、警官に連れられて死体埋めた現場に戻ってくるとかも大問題です。村を出る一本道でそんな騒ぎになったら鷹野は死体捨てるどころか雛見沢から脱出できず、本部にも合流できません。
 邪魔な圭一を排除しようにも要は死体という荷物が二つ増えるだけのことで、それ片付ける手間がいるわけですし、またちょうどその頃は富竹を始末するために診療所に5、6人の山狗が必要だし…と、鷹野も色々忙しいわけです。彼女的にも、この編で暴走する役どころである圭一にはもうちょっと泳いでいて欲しいだろうし。
 まあ最終的に、死体をとりあえず見つからんように埋めてくれて、でその場を鷹野が通る迄には去ってくれて、なおかつ警察に捕まらなさそうであれば、排除せずに放っといてやってもいいか…という判断を下すのではないかと思われます。
 で、圭一はその条件をどうにか全て満たし、帰路に着いてくれます。
 圭一がいなくなった辺りで監視してた山狗がさっさと死体を掘り出し、穴を埋め直し、死体はどっか適当な場所に隠蔽もしくは移送。
 当該区域クリアの連絡を受け、鷹野車は村の外へと向かいます。そしてそこで死体を下ろす…はずだったのですが、――これまたどういう偶然か、村の外へと向かう途中で問題の圭一とすれ違う際にアクシデントが起き、彼を家まで送り届ける羽目になってしまいます。


 この車内で、鷹野は「埋められた?死体」なんていう台詞を放つわけなんですが。
 よくよく聞いてみれば、続けてとんでもなく意味深にも取れる事を言っていたりもしますね。


「…こういう山奥に死体を埋める時はね。結構深く掘らないと、野犬とかが臭いを嗅ぎつけて掘り返しちゃうことも多いのよ? ………野犬が咥えてた人骨で事件が発覚、警察、一帯を山狩りへ…なんて、結構ないことじゃないのよ? ………くすくす…。」


 野犬っていうかさ、 そ れ 山 狗 じ ゃ ん 。





 …とまあ、「死体を掘り起こしたのは山狗」説として、色々と妄想を膨らませてみました。
 “圭一の電話を受けてしまい祭当日に圭一を監視していた詩音から殺害の事実と穴の場所を聞き出し、密かに魅音が処分した”とかの説よりも、こっちの方が面白い考えかも。