アニメ祟殺し編感想・推理のすすめ

 生きらいでか!


 どうにか命をつないでいる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はアニメ版ひぐらし祟殺し編まで見終わりました。
 ああ、人間ドックの結果ですか? あははははは。
 いやぁ…。人間、知らない方がいい事って沢山ありますよね。
 ていうかホラ、人生色々あるから。知らなくちゃいけないんだけど、知りたくはなかった事…なんてのもあったりしますよね。
 あはははははははは。私、明日から超アグレッシブに生きたいと思います。もういっそ「アグレッシブ斎藤」に改名したいくらいです。苗字斎藤じゃないけれど。
 とまあ下らん前置きはさておき、


<アニメ祟殺し編感想>


 十話以降の監督が良かったですね。色々溜め込んでいるような演技が真犯人臭くて。


 原作でも(祟殺し編では)圭一との友好関係を築けない大石ですが、
 アニメ版では嫌われ役というよりも、むしろ悪役ぶりが半端ないですね。
 監督の態度がかなり露骨でした。「…しつこい男だ」と吐き捨てるように言うとは。
 むしろその逆に、梨花の示す態度が沙都子の現実を隠すようなものだったのと合わせて、いいアレンジだったと思います。
 「絹ごし豆腐を買っていった沙都子の不審」が富田から伝えられる流れはカットされてましたね。伝えられたのは叔父が帰ってきたらしいという情報のみ。
 …ところで、木綿も絹ごしも値段大して変わらんのにちゃんとチェックされているとは雛見沢は恐ろしい村じゃあ。


 監督の車から降りてきた時点で、沙都子の眼がもう廃人色になってたのはいい演出だと思いました。ちょっとゾッとした。


 尺的に仕方ないとは思うんですが、圭一が魅音に鉄平の祟り殺しを依頼するのはちょっと不自然に感じた。流れも発想も急過ぎて、まるで圭一が凶暴な性格のように見えてしまう。


 児童相談所への通報は知恵が独断でした事になってましたが、まあ普通はこんな感じかも知れない。原作では沙都子連続欠席→友人への聞き取り→通報という流れでしたが、まあその手のプライバシーは仲の良い友達にも漏らしていいとは思わないだろうな…。教師としちゃ。


 頭を撫でた途端に沙都子が壊れるシーンですが、目線切れの悟史が頭を撫でる光景とカブらせてありましたね。
 これは「頭を撫でられる事によって、沙都子が贖罪をしなければならない悟史(及び、虐待に耐える事によって贖罪の真っ最中である現状)を思い出してしまい、必死に繕っていた上っ面が剥がれた」って解釈でいいんだろうか?
 原作読むと、“沙都子は頭を撫でられたせいで受けた虐待がフラッシュバックしました”みたいに受け取れるので、例えば…頭押さえつけられて窒息するまで風呂桶に首突っ込まれるような、そういう感じの虐待を沙都子は思い起こしてしまったんだろうなと想像していたのですが(吐いてたし、話の後の方で風呂を使った虐待みたいなのも出てくるし)、…違うって事かな。


 沙都子を祭に連れて行くよう頼むシーンですが、電話口の魅音は…ちゃんと全身が描かれてましたね。ここはてっきり、あえてわざとらしく、顔だけでごまかすかなあとも思ったのですが…。ただし問題となる「悟史くん」発言は据え置きだったので、気付く奴だけ気付けって事かも。


 圭一が雛見沢へ来るまでの顛末ですが、成績急上昇→いじめ→不登校と描写されてましたね。うまく騙すな…と思ったけど、単にアニメ用の設定に変わってるだけか。
 まあ…原作のアレはきついからな。


 鉄平を誘き出すシーンを見てちょっと思ったんですが。
 …冷静に考えると、職員室の電話からの北条家への通話記録が残ってしまうので、鉄平を誘き出すんだったら人気のない電話を使い、またちゃんと指紋も消しておかないとまずいでしょうね。
 いや、死体が見つからなければどうって事はない話なんですが、
 もし仮に失踪直前あたりの北条家の通話記録を調べられたら、あの時間に学校の電話を使用した人間がいる事がわかって、→当時営林署は無人、そこから電話がかかってくるのはおかしい→学校が無人である事を知る、学校の内部構造に詳しい人間が、鉄平しかいない北条家に電話をかけた…とすぐに特定されてしまう可能性がある。
 もしも鉄平の死体が見つかるなどして事態が大事になっていたなら、圭一は割と簡単に特定されてしまってたかも知れない。
 あの状況で圭一が公衆電話を避けたのは、時間的な余裕と目撃者を出さない為だったろうとは思うけど、利用者の限定される電話よりも公衆電話を使うべきだろうな、こういう場合。
 …って何を犯罪指南してますか私は。


 バイクで通りかかる鉄平はちゃんとメットを被ってたのか…意外。ノーヘルだとばかり思ってました。
 あ、いや、このへんは大人の事情かもしれないな。
 逃走方向の崖下に先回りして撲殺。アニメ版の圭一はちゃんと考えてるなぁ。


 圭一の知らない昨日を語るレナ達。存在しないはずの叔父を語る沙都子。圭一に奇妙な態度を示すレナ達。打ち明け話をした途端に圭一を拘束しようとする監督。焼死体で見つかる鷹野。どこにもない鉄平の死体。圭一の穴掘りを黙って見つめる大石達。直後に失踪する大石。無人の家で誰かに虐待されている沙都子。自殺体となって発見される監督。境内で綿流しされている梨花。吊橋から突き落とされ、やがて目覚めた圭一が帰り着く、滅んだ雛見沢。
 いやー謎だらけの富竹の怪死さえ普通にスルーされちゃう混乱具合、やっぱりこの編一番好きだなあ。5話使ったのも納得。



祟殺し編推理のすすめ>


さて、アニメ版を視聴済みで原作未読という方にお送りする「推理のすすめ・祟殺し編」でございます。
難易度が最悪な編なので、とりあえずここで推理しておくべきと思われる点だけまとめてみますね。


* * *


問1 「祟殺し編」では圭一が望んだ人物がことごとく死んでいきますが、彼らの死には圭一の願望が何らかの形で関係していますか?
A:関係していない。圭一は梨花の死を望んでいないし、また圭一にそんな便利な能力があるんだったらそもそも鉄平は手を下す前に死んでいるはず。
問2 祭前日の電話で魅音は悟史の名を口にしていますが、魅音の悟史に対する呼称は何でしたか?
A:“悟史”。つまり電話口で“悟史くん”と言った魅音は少しおかしい事になる。
  何がどうおかしいかを考えよう。

問3 圭一の記憶している祭当日とクラスメート達の語る祭当日には大きな齟齬がありますが、それは何についてですか?
A:「圭一の当日の行動」についてのみ大きな齟齬が発生している。
 

問4 祭の日に圭一を見たと証言しているのは誰ですか?
   また圭一の記憶と彼らの証言が両立しないとした場合、正しいのはどちらですか?
A:レナ、魅音梨花、岡村、富田、クラスメート達。
  圭一の記憶能力を疑うと前者が証明できなくなり、クラスメート達の底意を疑うと後者が証明できなくなる。

問5 大石は鬼隠し編綿流し編で共通するある行動を取っていますが、祟殺し編では取っていません。その行動と、彼が行動に移らない理由とは何でしょうか?
A:事件翌日、圭一に、富竹の死について訊ねに来る事。
  確かに祭前の時期に学校で圭一と少し揉めていたが、大石も捜査が仕事なのだから、それくらいで圭一に聞き込みをするのを止めたりはしないだろう。
  大石が訊ねに来ないのは、他二編と違ってそもそも圭一が祭の夜死んだ富竹と接触していないから。

問6 監督は圭一に薬を飲ませようとしていましたが、その理由は何でしょうか?
   また、監督が拘束を判断したきっかけは圭一の言動のどのあたりですか?
A:現実と非現実の区別がついていないとも取れる言動を見て。
 きっかけも同上。ただし、それだけで拘束しようとするのは明らかにおかしい。
 また、一度拘束しようと決めた圭一が逃げ、それを追ってこない理由についても考えるべき。

問7 埋めたはずの場所に死体がなかったのは何故ですか?
A:誰かが移した。
  つまり、殺した事も埋めた事も埋めた場所も全部その誰かにはバレていた。

問8 祭当日に鉄平を殺害した圭一と、祭以後も鉄平が家にいると語る沙都子。
   正しいのはどちらですか?
A:圭一の主観の正しさを疑うと前者が証明できなくなり、沙都子の主観の正しさを疑うと後者が証明できなくなる。
問9 圭一が沙都子の家に乱入した際(祭の二日後)、鉄平の姿はなかったものの、沙都子は叔父からの虐待を受けており、居間に転がる二人分の食材の日付も昨日のものでした。
   北条邸内に鉄平が滞在していた時間はいつごろまで、と言えるでしょうか?
A:鉄平は確かに死んでいるはずなので、鉄平は祭の日以来存在しない。
  ただし圭一の主観が狂っているとするならば何もかもが崩れる。

問10 結果的に日常から逸脱した行動を示す事になる圭一と沙都子ですが、強いて「おかしくなっている」と表現するとすればそれはどちらですか?
A:両方。ただしこれはどちらの主観も信用できないという意味ではない。

* * *


 答えが見たけりゃ反転させれ。そこそこのネタバレ含むけど。
 いつものように大体においてあやふやな答えの書き方ですが、推理を楽しむ一助となれば幸いです。


 あー、大石車の失踪とか監督の自殺体とか梨花の惨殺死体とか雛見沢大災害とかは、この編終了の時点では考えるだけたぶんムダです。
 まあ、材料は出ていなくもないので想像できなくもないんですが…例え真相に到達したところで真相と認識できないと思う。グレーの部分がまだまだ多いんで。
 彼らは別クチでやられたと思って脇にのけといてもいいくらいです。
 暇潰し編を見終わった後で、上に挙げた事柄を改めて考え直してみるといいかも知れません。暇潰し編と比較して。
 


 あぁ、そうだ。
 もう一年近く前の事になるんですが、綿流し祭後の混乱に何とか説明をつけようと、「圭一は一日分の記憶を失っている」という説に色々整合性をつけ、空白の一日があるという考えを元に「祟殺し編11.5日目」というオリスクを作ったりしました。
http://d.hatena.ne.jp/oramuda/20050802  
 この辺の記事で推理した説なんですが。
http://hangyodori.hp.infoseek.co.jp/
 こちらの「ひぐらしオリスク専用アップロード掲示板」に置かせて頂いてます。
 原作をお持ちの方は、よかったら遊んでやって下さいな。
 祟殺し編を単独で読み解こうとして行き着く迷推理です。それはもう気持ちいいぐらいに外れております。



 あ、あと。ひとつだけ。
 真相が解ったら怖くなくなる…って思ってましたが甘かったです。 
 原作既読で、皆殺し編まで終わらせたという閲覧者の方は、綿流し祭後の北条家の様子をきちんと想像してみるといいです。めちゃめちゃ怖いです。
 「SIREN」に出てくる前田屋敷並みに怖いです。
 おおお押入れから一生出たくねえー、みたいな。